2001.12.25
N KKと川崎製鉄は21日、経営統合に関する基本合意書を締結したと発表した。新グループの名称は「JFE(ジェイエフイー)グループ」。02年10月をメドに両社は株主移転により「JFEホールディングス(株)」を設立し、両社はその傘下に入り、事業分野ごとに戦略を同期化させ、一体的な運営を強化する。株式割当比率はNKK1株に対しJFEホールディングス0・75株、川鉄1株に対しJFEホールディングス1株。JFEホールディングスの会長は江本寛治・川鉄会長、社長は下垣内洋一・NKK社長。

 JFEグループは、05年度までに800億円の統合効果を目指す。内訳は、管理・間接部門を中心とした要員効率化・経費削減で300億円、規模拡大・仕様統合による調達コスト低減で200億円、最適生産体制の確立による生産・補修・物流コスト低減および設備集約と重複投資の回避による設備費低減で200億円、R&D効率化と技術交流などで100億円。

 財務目標は、05年度の経常利益が2000億円(00年度1100億円)、有利子負債が1兆8000億円(2兆5300億円)、ROA(総資産金利前経常利益率)が6・5%(3・7%)、ROS(売上高経常利益率)が7・5%(4・1%)。

 03年4月をメドに、JFEホールディングス傘下の両社を、鉄鋼事業のJFEスチール(株)、エンジニアリング事業のJFEエンジニアリング(株)、都市開発事業のJFE都市開発(株)、半導体事業の川鉄マイクロエレクトロニクス(株)、R&DのJFE技研(株)、の事業別の5会社に再編する。

 JFEスチールの会長は半明正之・NKK副社長、社長は籔土文夫・川鉄社長。JFEエンジニアリングの社長は土手重治・NKK副社長。JFEスチールとJFEエンジニアリングは、経営意思決定と業務執行の分離による権限・責任の明確化および決定・執行の迅速化を実現するため、執行役員制を導入する。

N KKは21日、来年2月1日付で下垣内洋一社長が代表取締役会長に就任、半明正之副社長が社長に昇格する人事を決めたと発表した。三好俊吉取締役会長は取締役相談役に退く。

 【半明正之(はんみょう・まさゆき)氏の略歴】63年東京大学工学部冶金学科卒、日本鋼管入社。92年取締役、96年常務取締役・福山製鉄所長、99年代表取締役副社長。40年11月8日生まれ、香川県出身。

 NKKの下垣内洋一社長と半明正之副社長は21日、都内のホテル・ニューオータニにおいて社長交代決定に伴う記者会見を行った。冒頭、下垣内社長が「社長に就任して4年半になるが、本日の川鉄さんとの経営統合に関する基本合意書を締結したことで、懸案事項が一段落した。若返りを図るとともに、経営統合後を見据えたかたちが、より効率的な経営ができると判断、半明副社長を後任に指名した」と社長交代を決断した経緯を説明。

 また「トップには変化に強くてフレキシブルな発想が必要と考えていた。とくに福山製鉄所長時代以来の半明副社長の優れたマネジメント力、リーダーシップ力を評価、後任に最適と判断した」と半明氏を指名した理由を述べた。これを受けて半明副社長は「数日前に、社長から話があり、思いもよらぬことでびっくりしたが、全力を尽くして頑張っていきたいと」と決意を表明。

日 本鋼管ライトスチール(谷一浩社長)と、川鉄建材(増田光一社長)は21日、NKKと川崎製鉄の経営統合に伴い、03年4月1日を目標に合併することで合意し、準備を開始すると発表した。合併によって、両社の強固な営業基盤や高度な技術力、既存の東西生産拠点等を生かした、強靭な経営体質と高収益構造を有する建材メーカーが誕生し、合併による効果を早期実現させて業界トップを目指す。

 両社では合併することで、多様化する顧客ニーズにこたえた商品およびサービスを提供し、事業活動を一層発展させることが最善の選択であると判断、今回の合意に至った。新会社の名称や所在地、代表者や合併比率など詳細に関しては、両社社長を共同委員長とする合併推進委員会を来年1月に組織。その下部機関として機能別分科会を設置し、それぞれ合併に向けての準備を開始する。

 合併後は、両社の設備・技術を生かした最適生産体制を確立し、生産・物流コスト面で競争力を高める。また、購買規模の拡大と仕組みの改善によって調達コストを低減するとともに、本社部門を中心とした管理部門の効率化、14社のグループ会社を含めた全事業において最適化を目指す。

日 本機械工業連合会(日機連)は21日、機械工業景気動向調査(調査時点11月)を発表した。それによると2001年度設備投資計画額見通し(工事ベース)は2兆8640億円(前年度比2199億円、7・1%減)となり、前回8月調査と比べ、1840億円、6・4ポイント下方修正された。自動車など輸送機械は上方修正されたものの、それ以外の一般機械、電気機械、精密機械は軒並み下方修正となった。投資動機も「能力増強」は前年度より減少、代わって「更新・維持・補修」「合理化・省力化」が増加、景気低迷のあおりが鮮明に表れた形だ。同調査は、機械工業使用企業181社を対象に実施された。

 設備投資額見通しの内訳は、一般機械6055億円(同4・6%増)、電気機械1兆1778億円(同21・1%減)、輸送機械1兆166億円(同5・5%増)、精密機械641億円(同30・8%増)。

 事業部門別の構成比は、生産部門は83・2%、事務部門が9・1%、その他が7・7%。前年度より生産部門の比率は1・8ポイント上昇、事務部門も同0・9ポイントアップしたが、その他は同2・7ポイント下げた。

山 陽特殊製鋼は、来年4月から出向社員の転籍を実施する。管理職は50歳以上、組合員は52歳以上が対象。これが実施されると出向社員の約6割、350人が転籍となり、同社の従業員数は来年4月1日現在で1750人体制となる計画。

 同社は20日、転籍の実施について同社労働組合に提案、労使間協議に入った。同社の出向社員は2002年3月末見込みで530人。このうち350人が転籍の対象となる。転籍の実施は来年4月から2005年3月末までの3年間で、それ以降については改めて検討する。

 同社の従業員数は、来年3月末見込みで2100人(社内勤務者1570人、出向者530人)。転籍対象者は全従業員の約17%に当たる。転籍者には定年まで勤務したとみなした定年扱いの退職金を支給するほか、転籍先会社との年収格差に応じた一定額を退職金に加算する。

 また、同社では「下方に強く、上方弾力性も具備した生産体制」とするため、来年1月から生産現場の勤務体制を全工程で見直し、シフトダウン(勤務直の減少)を行って要員のスリム化を実施する。製綱現場を5直から4直に、大形・棒鋼圧延現場を6直から5直にするなどし、生産現場の要員を1060人から940人へと120人削減する。

奥 澤産業(本社=千葉県浦安市、奥澤公明社長)は、コイル加工成品のデリバリー対応を強化する。成品ヤードの拡張工事を進め、置き場スペースを従来比で約20%拡大。今月中に工事を終えレイアウトの効率的な利用を検討するとともに、出荷対応のスピードアップを図る。

 12月上旬から出庫口の部分をヤードとして活用するため、約1000万円を投資して、工場壁面の増設や前面の車両進入部分へのシャッター設置など拡張工事を開始。成品ヤードスペースは、これまでの約3000トンの能力から約20%アップする。

 本社工場を加工拠点に表面処理鋼板を販売する同社は00年に、松島鉄鋼、丸紅(現伊藤忠丸紅鉄鋼)と合弁会社「エムコイル」を設立。松島鉄鋼・東京工場(当時)の加工設備を引き受け、本社工場に集約した。

 このため月間加工量はピーク約1万トン、平均約9000トンと従来に比べて倍増。自社販売に受託加工が加わり、コイル加工成品を在庫するケースも増えた。クレーン要員の増員などで対応していたが、出荷効率アップには置き場の拡張が不可欠と判断した。

 小ロット化、切板の小物化が進む中で、レベラーやスリッター母材コイルの巻き戻しが常態化。とくにスリッター加工は、巻き戻し時のサイズが極端に小さくなるため、すべて切断したうえで在庫しておくケースが多く、置き場が必要となる要因となっていた。

東 京地区の表面処理鋼板(電気亜鉛めっき)は、在庫過剰感が残ったままで横ばい。市中価格は5万3000―5万4000円(熱延)、6万3000―6万4000円(冷延)。

 薄板3品在庫指標が10月末まで減少傾向で推移し、高炉の減産に対する認識が定着し始めたことから、流通やコイルセンターも「これ以上の下げはないだろう」と底入れの気配を感じている。ただ、電気亜鉛めっきとしては在庫過剰感が消えていない。

 需要は自動車の一部以外が停滞気味で、とくに店売りに影響する建材や鋼製家具の動きが悪い。小売価格は横ばいだが、年末で商い自体が薄いうえに与信警戒の雰囲気。

東 京地区の異形棒鋼は強含み。市中相場はベース2万3000円どころ中心。市中の引き合いは低調だが、メーカーの減産継続でベースを中心にタイト感が強まっている。

 メーカーは減産を背景に12月契約でも値上げ実施の方針。流通サイドはこれまで割安に推移してきた細物でベースの値上がり分を薄めるなどの対応をとってきたが、細物メーカーもここにきて値上げに強固な姿勢を打ち出しているため安値受注回避に動き出している。

 商社では基本的にベース2万3500円どころを高唱える姿勢。ゼネコンサイドもデリバリーのタイト化を認識、値上げ受け入れはやむを得ないとの気運もみられる。相場は引き続き強含みで推移しよう。