2001.12.17
N KKと日立造船は14日、2002年10月1日付で造船事業を統合する方針を固め、両社は「造船事業統合基本協定書」を締結したと発表した。新会社の名称は「ユニバーサル造船株式会社」とし、本社を品川に構える。新会社社長には、NKKの船舶・海洋本部長の上條剛彦・専務執行役員、会長に日立造船の船舶・防衛事業本部副事業本部長の田澤謙三・常務執行役員が就任する。出資額は550億円で出資比率は50対50。資本金225億円、資本準備金は225億円を予定。総資産は1600億円で、グループ会社を含め約3200人で事業をスタートし、年間1500億円規模の事業体を目指す。

 造船事業統合に関する会見でNKKの下垣内洋一社長は、「造船事業を取り囲む事業環境は2―3年後の受注残確保と円安基調にも助けられ黒字で推移しているが、世の中の変化の流れは速く、安定しているうちに手を打つという意味では良いタイミングだ」と語った。

 新会社の事業組織は、商品戦略の強化を狙って「防衛・特機事業本部」と「商船・海洋事業本部」の2事業本部制とし、初年度の売上高750億円、05年をメドに売上高1500億円規模、経常利益80億円、経常利益率は5%を見込む。

 本社機構は、営業、調達、商戦、海洋の基本設計、防衛技術開発および管理部門とし、研究拠点はNKKの津に集約、生産自動化設備の研究については有明地区を中心に行う予定。

経 済協力開発機構(OECD)の鉄鋼ハイレベル会合がきょう17日から2日間の日程で、仏・パリのOECD本部で開催される。局長級による政府レベル会合で、世界の鉄鋼産業が抱える過剰生産能力削減問題を中心に討議、各国政府が、それぞれにまとめられた削減政策を報告。日本からは経済産業省の岡本巖・製造産業局長などが出席し、日本鉄鋼業の削減目標として、今後3、4年の間に年間粗鋼生産能力1億4500万トン(休止中設備含む)のうち、2800万トンを削減することを表明する。

 鉄鋼ハイレベル会合は、米国政府の提唱で実現したが、米政府サイドでは米国際貿易委員会(ITC)が19日に米通商201条(セーフガード)措置での損害認定、救済措置の大統領勧告を行う予定となっており、各国とも、この対応をにらんで保護主義けん制を醸成する点も焦点となる。過剰能力や価格下落など各国とも鉄鋼産業の現状を懸念する見方では一致しており、今後、状況改善を模索する観点から、OECD鉄鋼ハイレベル会合が定例化し、継続して開催される公算も大きい。

 今会合では、各国の過剰生産能力削減政策の提示、201条措置など鉄鋼通商問題が主要議題。OECD加盟30カ国が参加を予定しているほか、非加盟国からも、中国が本国から高官クラスを派遣する意向を伝え、ほかにロシア、ウクライナなど、合計約40カ国が出席する見込みだ。

日 本高周波鋼業の100%子会社、高周波鋳造(本社=青森県八戸市、松本善平社長)は14日、中国の鋳鉄生産合弁企業「撫順高周波鋳造有限公司」(遼寧省)で、設備増強を行うと発表した。約2億円を投じ、高速自動造型ラインを導入、ダクタイル(球状黒鉛)鋳鉄の月間生産能力を500トンから1200トンに引き上げる。02年10月の稼働を予定、同年下期から自動車など日本向けに月間800トンの製品を出荷する。

 今回の増強で、国内(八戸)と中国の生産能力は合計3200トンとなり、中国に汎用鋳鉄製品を集約、国内では小ロット品、合金鋳鉄品や、ダイカスト金型用母型などの機械加工分野を強化、高付加価値化を図る。

 今回の設備増強は、中国での自動車、建設機械、産業機械メーカーの現地調達拡大への対応と、鋳鉄製品の国際競争力向上が狙い。

 さらに撫順高周波で品質保証、生産技術のレベルアップのため、今年4月から技術者を現地駐在させており、一部にとどまっている日本国内への供給も伸ばす。

 一方、国内ではより付加価値の高い領域に展開、複雑形状製品のほか、破砕機部品、ロール・金型用の高クロム合金鋳鉄などを拡販。さらに中国との最適生産体制を形成し、中国に進出する日系自動車メーカーなどにも販路を広げる。現在、国内で行っている自動車金型用などの鋳鋼についても将来的には現地生産を検討する。
東 成鋼管(本社=東京都中央区、岡部耕一社長)が10月、宇宙開発事業団から、「HUAロケットの開発に際し優れた技術力を駆使し、同ロケット試験機1号機打ち上げに貢献した」として表彰された。

 同社が試験ロケットに供給した製品は、打ち上げロケットと衛星を切り離す際に必要とされるフェアリングパイプ。

 ロケットと衛星の切り離しには火薬の爆発力を利用するが、宇宙区間は真空なため、そのままでは火薬燃焼時に発生する煙が、衛星の周囲を漂ってしまうという不具合が発生する。フェアリングパイプは、この煙を閉じ込めるために使用されたもの。宇宙開発という最先端の事業分野からの表彰は、東成鋼管の製品の高い信頼性を表したものと言える。

 ユーザー売りをメーンとする同社がゆえ、その営業姿勢は「ユーザーがどういうものを必要としているかを汲み取り、その要求にどこまで応えられるかが基本だ」と岡部社長=写真。鋼管内需をめぐる厳しい環境のなか、状況に甘んじることなく自ら能動的に動こうとする姿が、そこにある。
関 西地区の溶断業者の山崎シャーリング(本社=大阪市西淀川区中島、山崎光信社長)は先月、本社工場のプラズマ切断機を最新鋭機(小池酸素工業製)にリプレースし、今月から稼働を開始した。

 旧設備は導入後、25年がたち、老朽化が目立っていたことから、リプレースしたもので、投下金額は3000万円(基礎工事を含む)。

 新設備では鉄骨や鏡板向けの切板を行う予定で、加工精度や切断面の向上だけでなく、本社工場の生産性を引き上げる。

 同社は、本社工場と姫路工場(姫路市大津区)の2つの切板工場をもつており、鉄骨、産業機械、建設機械、鏡板、橋梁、セグメント向けに切板を行っている。全社レベルの切板は、月間2200トン前後。

 工場の設備は本社工場がアイトレーサー1基、NCプレーナー4基、プラズマ切断機1基、レーザー切断機2基(出力=3KW、6KW)、ブレーキプレス1基。

 姫路工場はNCプレーナー2基、レーザー切断機1基(出力=6KW)、プレス3基、鋸盤3基、ボール盤2基、シャーリング1基、ロールベンダー1基。

 ただ、本社工場のプラズマ切断機は導入後25年がたち、設備の老朽化が目立っていた。また、同設備を載せていた架台も短かったため、設備のリプレースと架台も改善した。
マ イカルの破綻で工事が中断していた川崎駅北口地区第3西街区の市街地再開発事業が、このほど東京建物の参画によって再スタートした。総事業費は約110億円。JR「川崎」駅および京浜急行電鉄「京急川崎」駅前に、地上11階、地下3階の主に鉄骨造の建物が建設され、約4000トンの鉄骨使用が見込まれている。設計はアール・アイ・エーで、施工は大成・日産建設共同体。ファブリケーター(鉄骨加工業者)はこれから選定する。

 本事業は、地元地権者で構成される再開発組合に、マイカルの関連会社がメンバーとして加わって7月に着工した。しかし、マイカルが9月14日に民事再生法を申し立てたことで工事は中断。マイカルに代わって東京建物の参画が4日に正式決定したことで、このほど工事が再開した。

 4475平方メートルの土地に、延べ床面積約3万9000平方メートルのビルを建設し、シネマコンプレックスや飲食店、娯楽施設などのテナントを誘致する。竣工は2003年8月で、9月開業予定。

 川崎駅北口再開発は、川崎市が93年に策定した「川崎新時代2010プラン」のひとつ。将来、地下部分には京急大師線が建設される計画もある。

東 京地区の異形棒鋼はベースメーカーによる減産・値上げ姿勢が市況を引き締め、ベース2万5000円どころで安値が切り上がっている。

 ベースおよび細物メーカー各社は、年末年始の操業休止日を例年より1―2日増やし、不需要期となる1―3月需給に向け減産対応を強化する。1月の操業休止日数は「前年より15%増える見通し」(メーカー)。

 さらに注目されていた細物輸出が2月以降も継続される見通しが強く、需給はバランスされる公算が大きくなっている。

 ゼネコンサイドは先安を見込み、安指し値を寄せているため、市況は上昇力を得られないが、メーカーの強気を受けた商社が唱えを上げており、当面現行値で推移する公算。

大 阪地区の異形棒鋼は強含み。市中相場は安値が500円方切り上がり、ベース2万3000円どころ中心。需要低迷から商いは低調だが、メーカーの大幅減産継続により、ベースを中心に納期タイト感が強まっている。地区ベースメーカー2社の納期は1・5カ月以上に延びている。こうした納期タイト化を背景にメーカーは値戻しを推進、メーカーネットは確実に切り上がっている。

 流通筋では一部で安値受注に走る向きがあるものの、納期のタイト化、メーカーネットの切り上がりから基本的には2万3500円どころを高唱える姿勢にある。ゼネコンサイドでも値上げ受け入れはやむを得ないとするところが出てきており、相場は引き続き強含みの見通し。