2001.10.23
住 友金属工業は、工業技術院資源環境技術総合研究所、静岡大学などと共同で実用化に取り組むCO2海洋固定技術「GLADシステム」のモデルプラントを2001年度中にオーストラリアのワナンブールに建設、実証試験開始を目指す。今後、日本政府やオーストラリアの環境省、AGO、ビクトリア州などからの補助金やオイルガス産業などの協賛企業のスポンサーを求めて、CO2削減技術の実証実用化に乗り出す。

 「GLADシステム」は、資源環境技術総合研究所の斎藤博士(現・静岡大学)が発明し、静岡大学、大阪大学、徳島大学、民間企業として住友金属が共同研究に参加している。

 具体的には、95年に基礎研究を開始、2001年度まで室内実験や概念設計、FSに取り組んできた。02年度からデモプラントを建設して実証試験をスタートして、09年度から実機の建設操業に入る計画だ。

 02年度からの実証試験に関しては、当初、国内で計画していたが、日本国内では漁業権の問題などから建設が難しい状況にあった。そこに、オーストラリアのAMIRAから、デモプラントを豪東海岸に設置してはどうかとの申し出があり、オーストラリアでのデモプラント建設の方針を固めた。

 この地域には、オイルガス田用生産用プラットホームが多数あり、デモプラントの建設に適していると判断したためだ。具体的な候補地としては、ニューカッスルやパース、ワナンブールなど3カ所が選ばれたが、最終的にメルボルン郊外のワナンブールに選定した。

東 京製鉄は22日、11月契約でH形鋼、I形鋼、溝形鋼、山形鋼各品種の実行販価をそれぞれトン当たり1000円値上げすると発表した。秋需期を迎え9月から引き合いが増え始めたことや高炉各社の値上げ・減産など環境が整ってきたことを追い風に、販価の改善に取り組む。「確実、持続的に市況の回復を目指す」(安田英憲常務)とし進ちょくを見極めつつ、12月契約以降の追加値上げを検討する。他の条鋼、薄板品種などは据え置いた。22日売り出し、25日の締め切り。

 H形鋼は10月契約から新日本製鉄、NKK、川崎製鉄が店売り、ヒモ付きともトン3000円の値上げに踏み切った。各社の需要見合いの減産姿勢で在庫も減少の傾向。H、一般形鋼ともに市況は底堅く推移しており、マーケットの流れをみて東鉄も価格の是正に入る。高炉の上げ幅と差があるが、「販売業者の立場も配慮し着実、確実に進めるため」(同)、段階的な引き上げを選んだ。

 一方、高炉各社が同様に価格是正を進めている薄板品種は据え置いた。「今の価格で満足していない」(同)としつつも、輸入材を含め市況に変化の兆しがみられず、高炉による一連の値上げ成果が出ていないと判断。下げ止まり感を得ているがマーケット状況に歩調を合わせた。

東 京製綱(上西凖社長)は22日、競争力強化と財務体質の改善を目的とした、工場集約などを柱とする経営改善対策「新生21計画Vプラン」を発表した。今下期から2004年度までの計画で、小倉工場の生産休止(エンジニアリング部門除く)と泉佐野工場の堺工場への集約を行う。同時に早期退職と合わせグループ従業員を03年度末までに560人削減(現従業員の約20%)。有利子負債は資産売却を原資に200億円圧縮する。「世界の競合メーカーに伍するプラン」(田中重人副社長)とし、大幅な構造改革に着手する。

 需要が後退、メーカー間の競争はグローバル化し収益環境は悪化している。難局打開に、収益力の回復と財務体質の健全化を目標に「徹底した改革」(田中副社長)を進める。プラン実施で04年度の業績は売上高は01年度並みの780億円、経常利益率は配当可能な約5%を確保する。

 プランでは、小倉のワイヤロープ・めっき線事業(月産500トン)を休止し工場用地を売却する。また、関西の泉佐野・堺両工場(同1600トン)について泉佐野を堺に集約する。これによって土浦(同5000トン)を含めた4工場から実質2工場体制となる。労働組合との調整の上、来春から移管工事に掛かる予定。

浦 項綜合製鉄は今後のステンレス製品とくに冷延需要の増大に対応して、浦項製鉄所に電気炉1基を増設し、ステンレス・ホット製品の増産に乗り出す。03年5月竣工を目指し本年夏着工した。

 新設設備の能力はホット年産60万トン(粗鋼ベース43万トン)規模で、既存の2ライン(計120万トン)と合わせて熱延・冷延トータル180万トン能力にアップする。

 総工費は約5000億ウォン(約500億円)を予定しており、その中には既存のステンレス専用ホットコイル・コールドラインの改修、補強、調整整備などの費用が含まれている。

 同社では、浦項製鉄所にステンレス専用電炉2基(粗鋼ベース各43万トン)を整備。熱延・冷延製品合計年間110万トン前後の製造・販売を行ってきている。No2電炉は1996年9月末に完成しており、新設のNo3電炉は7年ぶりの増強となる。

 鋼種としては、これまではSUS304系(ニッケル系)が製造の中心を占めていたが、最近、自動車の排気管用途などに売れ行きが伸びている409系などクロム系を視野に入れて、製造メニューを広げるほか、国内ステンレス冷延リロールメーカー向け供給拡大も今回の増設のねらいとみられる。
山 陽特殊製鋼は22日、日本プラントメンテナンス協会が提唱するTPM活動の「TPM優秀賞第1類」の審査に合格した、と発表した。特殊鋼専業メーカーとしては3番目の受賞となり、11月6日に表彰を受ける。

 TPM活動とは、全員参加の生産保全活動のこと。同社では「SPM活動」と名づけ、1997年から生産部門を主体に展開し、自主保全・個別改善・教育訓練など8項目に活動の重点を置き、製造現場の作業単位を基本としたサークル活動として推進してきた。

 自主保全活動では、設備効率を阻害する要因の撲滅を目指して約23万件に及ぶ設備の不具合個所を摘出復元(修復)するとともに、約82万カ所の総点検を実施した。個別改善活動では、約1800件の合理化課題を各現場サークルのテーマへブレークダウンし、問題解決を図ることによって合理化を推進した。また、教育訓練活動では、空圧・油圧・電気など6項目の基本的な技能について実践的な教育を実施した。これまでの全社の教育延べ時間は9000時間(1人当たり半年間で48時間)に及び、66人が技能士資格を取得した。

 これら総合的な取り組みによって、設備総合効率は1・2倍に向上、突発故障件数は3分の1まで減少、労働生産性は1・3倍に向上し、合理化累計金額は約56億円となっている。
日 本鉄源協会(会長=萬谷興亞、新日本製鉄副社長)は、11月15日午後2時から「循環型社会の構築と鉄資源のリサイクル」をテーマに、東京都中央区の鉄鋼会館でシンポジウムを開催する。

 今回のシンポジウムでは、循環型社会における経済システムの変貌やそれを支える経済主体の在り方など、鉄資源リサイクルを切り口に今後の方向性を探るのが狙い。

 基調講演では、萬谷会長が「循環型社会と鉄鋼業の役割」と題し講演する。また「循環型社会システムの構築と鉄資源のリサイクル」をテーマにパネル討論が催される。

 パネリストは、土志田征一(日本経済研究センター理事・研究参与)、永田勝也(早稲田大学理工学部教授)、佐々木喜朗(普通鋼電炉工業会会長・合同製鉄相談役)、鈴木孝雄(日本鉄リサイクル工業会会長・鈴徳社長)、喜多見淳一(経済産業省製造産業局鉄鋼課製鉄企画室長)となっている。司会は、山崎直宜(日本鉄源協会総務部長)が務める。入場は無料。

 申し込みはインターネットまたはFAXで。締切日は31日。

 ▼TEL03(5640)0311

 ▼FAX03(5640)0314

 ▼http://www.tetsugen.gol.com
日 本鋳鍛鋼会・需要調査統計部会は22日、今年3月に発表した01年度鋳鋼・鍛鋼生産数値を下方修正した。鋳鋼は前回見通しに比べて1万5000トン減の25万5000トン(前年度比6・9%減)、鍛鋼は同3万7000トン減の53万9000トン(6・8%減)となった。鋳鋼、鍛鋼とも船舶、発電用機器向けを除いて振るわないとみている。米国テロとその軍事対応の景気への影響や、一部メーカーの動向と海外調達などを考慮した。

 鋳鋼の上期実績見込みは、設備の補修や改善投資需要の底上げによるバルブ・コック、豊富な手持ち工事量に恵まれた船舶、発電用機器などが数機種が当初見通しを上回った。だが、土木建設・鉱山機械、鋳鍛管をはじめとする多くの機種が減少したため、当初見通しを5000トン程度下回る見通し。

 下期は船舶、発電用機器が上期並みの堅調な生産量が見込まれる。しかし、国内の建築工事関連や民間設備投資関連需要の低迷と、米国経済の減速長期化が輸出関連需要にも大きな影響を及ぼすことが予想される。このため、ほとんどの機種は上期の生産環境が改善されず、上期見込みに対しさらに5000トンの減少と予測した。減少率は3・8%。

 一方、鍛鋼の上期実績見込みは、鉄鋼用ロール、発電用機器、容器類が当初見通しに対し増加となったものの、国内景気の悪化傾向とIT関連をはじめとする設備投資が減少。加えて、北米向け完成車の輸出急減などの影響により、とくに型用鋼、自動車が大幅な減少となったため、当初見通しを1万4000トン程度下回る見込み。

 これに対し下期の見直しでは、船舶、発電用機器は豊富な手持ち工事量に支えられ上期並みの生産量は確保できるとみた。自動車は国内景気の減速懸念の影響があるものの、完成車とKD共に上期ほどの落ち込みはないものと判断した。しかし、国内鉄鋼減産による鉄鋼ロール、輸出案件が減少となる容器類、鉄道車両用車軸、建設関連と設備投資減退の影響が予想される鍛造ブルームなどが減少となるため、上期実績見込みに対しさらに3000トンの減少と予測した。減少率は1・1%。

 この結果、鍛鋼の生産水準も00年度上期をピークに、00年度下期、01年度上期、下期と3期連続の減少となる見通しだ。

世 界の鉄鋼生産主要64カ国の1―9月の粗鋼生産は6億2007万トンで前年同期比0・1%減、ほぼ横ばいとなった。北米、欧州など主要地域の生産が前年ペースを下回る中、中国、台湾、スペイン、ウクライナ、トルコの増産が目立っている。

 これは国際鉄鋼協会(IISI)まとめによるもので、9月単月の64カ国の同生産は6811万トン、前月比0・2%増、前年同月比0・3%減だった。

 1―9月の主要地域別の生産は、欧州15カ国1億2044万トン、前年同期比1・6%減、その他欧州諸国3401万トン、0・8%減、CIS7417万トン、2・9%増、北米9182万トン、11・5%減、南米2807万トン、3・4%減、アジア2億4719万トン、4・6%増。

 アジア各国の同期の生産は中国1億226万トン、前年同期比10・1%増、台湾1389万トン、12・5%増、韓国3262万トン、1・7%増、日本7806万トン、1・3%減、インド2037万トン、1・5%増。

 欧州主要国の同期の生産は独3395万トン、同3・2%減、仏1495万トン、5・0%減、伊1996万トン、1・6%増、スペイン1249万トン、5・0%増、英1062万トン、8・3%減。ロシアが4334万トン、同横ばい、ウクライナは2507万トン、8・9%増、トルコが1128万トン、5・4%増だった。

東 京地区の厚板は市中価格(12ミリ、ベースサイズ)3万9000―4万円中心で横ばい。

 需要は9月から10月にかけても停滞気味。「少なくとも良くなる材料は見当たらない」(流通)という。建築、建機産機などいずれも低調な需要が続く見通し。高炉メーカーの造船、UO鋼管向けは堅調だが、溶断業者とは全く別世界の動きとなっている。

 このため、高炉メーカーの厚板値上げ方針は出そろったものの、市中への浸透の度合いがはっきりと市況や雰囲気に表れないまま、底値圏で推移している。母材価格も値上げ後の材料とまだ入れ替わっていない。値上げ転嫁が課題だが、市況は目先も横ばいか。

東 京地区の角形鋼管(黒皮=2・3ミリ×100ミリ×100ミリ)はトン4万9000円を中心に、弱含み横ばい基調が続く。市場の荷動きに大きな変化はみられない。関東圏では小口物件中心に動意はあるものの、「活況さ」からは程遠い状況が続いている。

 ただ、需要が低迷しているために、問屋どおしの販売価格のたたき合いとはなっておらず、売値は低位ながらも安定した感じとなっている。

 しかし、目先について価格上伸につながる明るい材料がないのも現実で、関係者の間では「(価格は)よくて横ばい」(営業)との見方が支配的。目先、弱含み横ばいの見込み。

大 阪地区のH形鋼はメーカー各社の値上げ表明を受け、流通大手の値戻し機運がさらに強まっており、一段高の様相となっている。

 今月から始まっている流通の値戻し努力から、市況は先週末までにベース3万2000円がほぼ固まった。建設需要の不振から荷動きが伴わず、値上げスピードも鈍化してきているが、それでも中心値は「ジリジリと上がっている」(特約店筋)のが現状だ。

 また、新日鉄などメーカー各社が10月契約11月ロールから値上げを表明。値上げ玉は来月中旬にも入荷し始めるため、流通各社はさらなる値戻しを迫られている。