2001.04.04
住 友金属工業は4日、構造物などで問題となる疲労破壊に強い高張力厚鋼板を開発した、と発表した。疲労亀裂の進む速度を従来の2分の1に低減する複合組織を、総合技術研究所(兵庫県尼崎市)で世界で初めて発見し、鹿島製鉄所のTMCP(熱加工制御)技術を駆使して製造に成功した。造船や橋梁、建設機械など、疲労破壊への耐久性が要求される各分野で来年以降販売を目指す。

 船舶や橋梁などで問題となる疲労破壊は、材料面からの防止対策に限界があるとされ、構造設計上の配慮で対策が講じられてきた。住金では疲労亀裂の進展速度に注目し、総合技術研究所での冶金的研究から、適切な複合組織が疲労亀裂の進展速度を遅くすることを発見。鹿島製鉄所のTMCP(DAC)技術を使って開発した。

 疲労亀裂の進展速度が従来の半分以下に抑えられるため、亀裂があっても構造物の寿命が長くなる。構造物の安全性が向上するとともに検査、保守、補修費用の削減などが期待できる。また、溶接性や加工性、母材特性は従来と変わらないという。規格は50`、60`クラス級で厚さは最大50_。

油 圧機器大手の太陽鉄工(社長=高島成光・共英製鋼会長)は3日、同日付で更生手続きを終結したと発表した。先月30日に残存弁済対象金を繰り上げ一括弁済し、3日付で大阪地裁から終結が正式に認められたもので、子会社の大塚鉄工(石原進社長)も同様の方式で更生手続きを終結した。計画認可後4年半のスピード更生で、計画より11年前倒しでの終結。11年もの前倒し終結は初のケース。高島社長は終結を機に6月の株主総会で代表権のある会長に就任し、社内から社長を選出したい意向。

 太陽鉄工は1993年7月に経営が行き詰まり、グループ会社6社と大阪地裁に会社更生法の適用を申請。同年12月に会社更生手続きの開始決定がなされ、事業管財人に共英製鋼現会長の高島成光氏が就任した。96年7月に更生計画の認可を受け、グループ会社の合併、工場の統廃合、人員のスリム化などにより、太陽鉄工と大塚鉄工の2社で更生計画を進めることになった。更生計画の骨子は2社の確定債権額789億円について平均62%カット、38%を15・5年で分割弁済するもの。

 更生計画認可後は不況下にありながら善戦。黒字決算を維持し、更生計画を約定通り確実に実行してきた。今年2月に2002年3月20日から2012年3月20日までの弁済予定分を繰り上げて一括弁済する形に更生計画を変更し、11年前倒しで終結をみた。前倒し終結は更生会社からくる営業上のハンディキャップの解消や合従連衡を進める上での更生会社というレッテル破棄の必要性、さらにデフレ経済下で先行き計画上の高水準の収益確保が困難とみられることなどが理由で、大和銀行の支援により一括弁済のメドがついたため、実施に踏み切った。

鉄 鋼製品の電子商取引サイト運営会社の鋼材ドットコム(本社=東京都中央区、吉江純彦社長)は今月から、サイトに鉄筋および特殊鋼の丸鋼・角鋼の在庫販売機能を付け加えた。また、買い手側のサイズ提示として、定尺以外のサイズをフォーマットの中から選択指定できる機能を付加した。定尺以外のサイズ指定を可能とすることで、流通に加え、エンドユーザーのサイト利用拡大を見込む。

 サイトの新機能については4月20日午後1時から、アクロス福岡の国際会議場(福岡市中央区天神1―1―1)で行う鋼材ドットコム、キヤノンシステムアンドサポート、帝国データバンクによる「鋼材ドットコムセミナー」で、詳細説明を行う予定。
メ タル便(本社=千葉県浦安市、梶大吉社長)は、24時間対応のweb発注受け付けシステムを整備し、きょう4日から本格運用を開始する。今後の電子商取引の増大に備えるもので、FAXで行ってきた明細発注をインターネット上で可能にし、さらにユーザーの利便性を高める。また、契約法人数が浦安鉄鋼団地に物流機能を持つ法人の約半数に当たる85社にまで増大したのを受け、今後はユーザー向けの物流コンサルタント事業にも取り組む。

 メタル便は、国内最大の浦安鉄鋼団地で鋼材の小口配送を目的として設立された共同配送会社。2000年8月に発足して以降、急速に契約法人数を拡大し、この3月末時点で85社となった。また、関東地区を中心に契約運送会社も20社となり、メタル便は着実に普及しつつある。

 一方、スマートオンラインやイー・マテリアル・オークションなどとの提携など、電子商取引時代の本格的到来に備え、この4日からwebサイトを開設した。また、これまでのコストダウンへの取り組みの成果を明らかにするために、web上に配送運賃を公開していく方針だ。

米 国最大の高級棒鋼ミル、リパブリック・テクノロジーズ・インターナショナル(RTI、オハイオ州フェアローン)は2日、オハイオ州アクロンの破産裁判所にチャプター11による会社更生手続きを申請した。同社は操業を継続し、法定管理下での再建を目指す考え。

 RTIは、旧バー・テクノロジーズと旧リパブリック・エンジニアード・スチールズの合併会社と旧USS―KOBEとが99年8月に合併して発足したもの。売り上げ規模は年間13億ドル、従業員は約4600人。出資比率は、投資会社のブラック・ストン52・15%、ベリタス14・14%、USX17・18%、その他12・53%、神戸製鋼所4・0%。

 同社によると、これまで四半期連続で営業利益を計上してきたが、旧3社から引き継いだ負債などによる年間1億ドルに上る金利負担が重く、加えて2000年後半からの需要低下、市況下落などによって財務状況が悪化し、更生手続き申請を決めた。

 神戸製鋼は同日現在、「2000年度内に損失を計上ずみで、連結業績への新たな影響はない。また神戸製鋼としては、旧USS―KOBE時代から継続しているRTIへの技術支援は今後も続け、(とくに日系自動車向けなど)製品品質の維持にも最大限の努力を払っていく」(米国神戸製鋼)とコメントしている。

 米国のSBQ市場では先にクオリテック、米CSCがチャプター11を申請。また鉄鋼業界全体では、昨年後半来、中堅高炉のウィーリング・ピッツバーグ・スチール・カンパニー(WPSC)、第3位の高炉であるLTV、またLTVが50%を出資する薄板ミニミルのトライコ・スチールなどが同法を申請している。

 とくに今年に入ってからのトライコ、RTIなどのチャプター11申請の背景には、金融業界からの鉄鋼業界への資金供与スタンスの大きな変化があると指摘されている。米経済成長の鈍化による需要減少および製品在庫高などを背景に、鉄鋼各社が打ち出した製品値上げも一部が浸透するにとどまっているもようで、鉄鋼業界からの同法申請がさらに続くことも十分にあり得る。
住 友金属工業が開発した耐候性鋼板に安定錆をスピーディーに生成する「ウエザーアクト処理鋼板」の受注実績が累計約40万平方メートル、通算100橋を達成した。97年の販売開始以来、毎年、販売量が倍増、2000年は年間目標受注量20万平方メートルには届かなかったものの、前年度比20%強の伸びを示した。同社では、今後ともメタル橋向けメンテナンスフリー防食処理技術として、ウエザーアクト処理の普及を目指す方針。

 ウエザーアクト処理は銅、リン、クロムを含むつや消し焦げ茶色の液体物質で、耐候性鋼板に吹き付けることで短期間に強制的に安定錆をつくることができる。生成した安定錆は結晶が緻密で塩分などに強く、在来の製品よりも耐食機能が強化される。

 橋梁塗り替えのコスト比較では、普通鋼のメンテコストを考えると、約10年程度で投資額を回収できるという。また、既設橋にも対応が可能で、ケレン処理して素地調整した後に処理剤を塗布するだけで、2年程度で安定錆ができるなどの強みをもつ。
台 湾の中国鋼鉄(CSC)は、高尾市で新高速鉄道会社を設立し、公共輸送部門に初進出した。新会社は高尾捷運公司で、CSCが30・5%を出資。残りを遠東グループ(20%)、統一グループ(10%)、新光グループ(6%)などが出資している。海外からドイツのシーメンス(9%)、日本の熊谷組などの出資が予定されている。総工費は700億台湾ドル。2001年10月から工事に着手し、06年末の完成を予定している。

 CSCは、台湾で唯一の高炉一貫メーカー。2000年の鋼材ベースの生産実績は949万1800トンで、前年比4・1%の増加。売上高は1006億3500万台湾ドルで、同10・7%増と過去最高を記録。税引き前利益も、2160億600万台湾ドルの黒字で同39・3%の増加と好調。     

 公共輸送事業部門への進出は、こうした主力鉄鋼部門の高い収益状態を背景に、早めに経営多角化を進めようとの判断から計画された。また、経営資源の分散投資による、経営リスクの低下を狙った面もある。

 計画では、高尾市の南北を結ぶ地下鉄42キロと東西を結ぶ25キロの路線を新たに建設する。建設の事業主体として機能するとともに、完成後の事業運営にも主力出資社として参加していく。

韓 国の鉄筋販売が、2月で急増したことが明らかになった。電炉メーカーの値上げで仮需が発生したためとみられている。大手10社の販売量は、2月で82万7000トン(輸出含む)で、前月比で109・9%増と倍増。前年同月比でも49・8%の増加を記録した。これに対し、生産は55万トン台にとどまっており、前月比では逆に8・9%の減。在庫品を含め75万トンが国内向けに販売されたが、このうち15万トンが仮需と見られている。

 韓国鉄鋼新聞社が電炉メーカーの生産・販売実績を個別に調査したところによると、2月の鉄筋生産は、55万トンと前月比4万6000トン減少した。しかし、販売面は輸出を含め急増した。国内販売は75万1000トンと、前月比105・8%の増加。輸出も7万6000トンで同162・1%の増加となった。販売全体では82万7000トンと同109・9%の増加。

 こうした2月販売の増加は、1月が寒波で建設現場が中断したのと、正月連休などの影響で需要が実態以上に大幅に低下。こうした中で、電炉メーカーが2月末の値上げを示唆したため、ゼネコンなどが先行して買いに向かったのが、仮需を含めて需要全体を押し上げた。

東 京地区のH形鋼市況は200×100で3万6000円中心。弱含み横ばいだが、4月に入って、引き合いは少し出てきた。

 3月の出庫量は、2月比5%程度の微増。在庫量は同微減にとどまる。タイト感はない。「この10年で最悪」(特約店)と言われるほど、今年の1―3月の荷動きは低迷した。在庫が多すぎたため。今後の在庫減は確実のため流れは変わる。メーカーの対応次第だ。減産は効果が表れるのに時間がかかる。物件向け販価を上げて市中在庫から出る量を増やす策を、特約店はより強く求めている。値が下がった現状で、在庫減を実感できて荷動きがよくなれば、5月連休明けに上昇しそう。

東 京地区の冷延薄板市況は弱含み。市中価格(1・0―1・6_、ベースサイズ)は4万9000円中心。商いに勢いがないことと輸入コイルの安値が出回っているため、小売業者も弱気の販売姿勢。2月の販売量が落ちたうえ3月も年度末の割には伸びなかったようだ。需要は家電や自動車で高い水準を維持するが、4―6月にかけては下方修正の可能性もある。

 メーカーの受注調整もあり、熱延薄板に底値感が出てきたのは冷延にとっても好材料。ただ、メーカーの供給増加で在庫が積み上がっている点と、亜鉛めっき鋼板の市況も弱気である点から不安ムードが残る。目先も弱含みか。

大 阪地区のコラム市況はベース5万5000―5万6000円(加工込み)どころでジリ安。S造建築が相変わらず冷え込んでおり、4月に入っても春需の気配は見えない。市中の荷動きも低調で、加工流通の加工納期も2―3日とほぼ即納の状態が続いている。

 また、市中在庫も製販の需給調整から増勢傾向に歯止めがかかっているものの、依然として過剰感が強い。このため、扱い特約店筋の売り腰は締まらず、需要家の厳しい指し値にズルズルと引きずられている状況で、一部で安値も散見されている。また、公共大型物件が減少しているため、ここにきてBCRのエキストラも縮小する傾向にある。