2001.02.05
2 000年12月の薄板三品在庫(国内メーカー・問屋・全国コイルセンター工業組合の合計)は419万8000トンで、前月比7万5000トン(1・8%)の増加となった。在庫が前月比で増加したのは00年8月以来4カ月ぶり。中でもメーカー在庫は季節要因から前月比7万1000トン(3・9%)増と大きく増えた。薄板需要は堅調なものの、在庫は引き続き楽観できない水準にある。

 熱延薄板、冷延薄板、表面処理鋼板を合わせた00年12月薄板三品在庫のうち、国内メーカーの合計は184万7000トンに増加、今年度では8月の190万トンに次ぐ高水準となった。年末は流通が休業で出荷待ちが出るため、季節要因からメーカー在庫が増えた。

 品種別の合計在庫は、熱延薄板が214万トンで前月比4万トン(1・9%)増、冷延薄板が83万1000トンで同1万1000トン(1・3%)増、表面処理鋼板が122万7000トンで同2万4000トン(2・0%)増とすべての品種で前月比増加となっている。

 熱延薄板は国内メーカー在庫が114万4000トン(前月比5・0%増)と大幅に増えた。表面処理鋼板はメーカー40万6000トン(同3・8%増)、問屋33万1000トン(同0・9%増)が増加。冷延薄板はメーカー29万7000トン(同0・3%増)、問屋20万3000トン(同3・6%増)、コイルセンター33万1000トン(同0・9%増)といずれも微増となった。

 第2四半期(00年9月)末と比べると、熱延薄板は5万4000トン(2・5%)減、冷延薄板は1万6000トン(1・9%)減、表面処理鋼板は5万5000トン(4・3%)減といずれも減少している。

 ただ、メーカー・流通別では問屋82万3000トン(第2四半期末比7・6%減)、コイルセンター152万8000トン(同5・9%減)と流通で減少したのに対し、メーカーは184万7000トン(同2・2%、3万9000トン増)と増加している。

日 本鉄源協会がまとめた1月第4週の鉄スクラップ市況調査によると、関東・中部・関西の3地区平均価格がトン当たり7978円(メーカー炉前価格、H2中値平均)と、ついに8000円台を割り込んだ。全国平均は8098円(前月比155円下落)で3地区、全国ともに昨年最終週以降5週連続の値下がり。

 3地区の平均価格が8000円台から7000円台に突入したのは、98年12月以来となる。地区別では関東が7333円(同200円下落)、中部が7400円(同140円下落)、関西が9200円(同300円下落)。2月第1週では全国平均価格も8000円台を下回る見込み。

協 友リース(曽我部満社長)はリース材の加工に関して、これまで川商ジェコス東京工場に委託していたが、これを全面的に自社加工に切り替える。本年1月にはバンドソーを1台導入するなど、すでに本社・沼南工場内の加工体制整備に着手しており、これが完了する4月にも加工込みリースをスタートする計画だ。

 協友リースは86年、重仮設リース大手の川商ジェコスと丸紅建材リースが50%ずつ出資して設立し、H形鋼桁材と挟締金具のリースおよび販売・製作・加工・修理など幅広く手がけている。また昨年は、約8億円(土地購入費含む)を投じて千葉県東葛飾郡沼南町に建設を進めていた本社・沼南工場が完成。千葉県印旛郡白井町から移転し、同7月末には営業を開始している。

 協友リースではリース材の加工に関して、これまで川商ジェコス東京工場に委託し、自社ではメンテナンス(現場での付着物除去)のみ行っていたが、東京工場までの横持ち運賃がコスト増となっていた。このため、同社では、年々高まっている加工込みリースのニーズに対応するとともに、不必要なコストを削減するため、本社・沼南工場への移転を機に、自社加工体制の整備を計画。

 これを実行するため、本年1月にはバンドソーを導入し、現在、専用ラインの設置など準備を進めているが、これが完了する4月には加工込みリースに本格参入する。取り扱うのは(1)スティフナーの取り付け(2)エンドプレートの取り付け(3)ボルトジョイント加工(4)切断加工―の4種類。

東 鉄連需給調査委員会(委員長=野水清志・野水鉄興社長)は1日、茅場町の鉄鋼会館で定例委員会を開催した。鋼管、薄板、厚板、形鋼、棒鋼の各品種部会担当者が鋼材需給の現状と見通しを報告、活発な意見交換が行われた。中でも東京製鉄の値下げ発表については鋼板、鋼管などで大きな影響が出るとの懸念が聞かれた。今後は流通の販売姿勢も問われるとして、価格重視を強調する声も多かった。

 各担当者からの報告を受けて、市場調査委員会の渋井孝雄委員長(渋井鋼材店副社長)は「厚板市況が昨年1年間横ばいと健闘していて、中板や薄板からも市況は維持するか、一段下げてもそこで止めたいとの努力が感じられる。ただ東鉄の値下げに対するインパクトはすさまじい。今後の動向に危ぐもあるが、持ち直してほしい」と総括した。

 東鉄連の久富順平会長(中央鋼材社長)は講評で「形鋼の話で言えばH形鋼は在庫水準が上がり、一般形鋼も不需要期に入って全般的に厳しい。売れないものは買わないという姿勢が大事。流通は採算が厳しいとの覚悟、そして昨年とは違う角度で仕入れや販売に注意を払う必要がある」と述べた。

神 戸の鋼材特約店である永井鋼業(本社=神戸市西区伊川谷町潤和、栄藤俊一社長)は昨年12月末に倉敷営業所(岡山県倉敷市)を閉鎖し、昨年から進めてきた一連の本社への拠点一本化を完了。同時に、営業社員、工場要員の若返りを図るなど戦略的補強を推進。こうした社内の構造改革を踏まえ、今年度は本社工場の加工部門の稼働率を高めるなどして、売上高65億円、経常利益8000万円を目指す方針。

 同社は昨年から、新社長体制のもと旧本社を閉鎖して、機能を主力工場がある新本社に集約する統合作業を進めてきた。今回、閉鎖した倉敷営業所は鋼材倉庫を保有して構造用鋼、小棒を中心に販売していたが、年明けからこの販売機能も本社に集約。これにより、経営効率化を目指した新本社への拠点一本化が完了した。

 また、同社ではここ数年、営業社員、工場要員の若返りを積極的に進め、この結果、社員の平均年齢は特約店では比較的若い36・5歳にまで下がった。

 同社はこうした社内の構造改革を進めることで、経営効率の向上を図る。営業分野では、一部土木分野の開拓を開始しており、今後、販売地域、品種の視野を拡大し、事業分野を広げる。また、工場分野では現在の布陣を維持しながら、溶断・シャーリング加工およびH形鋼・コラム一次加工などの加工設備約20台の稼働率を引き上げる。

ブ リキ・薄板の取扱大手特約店の中村商事(本社=東京都千代田区神田和泉町、中村定社長)は昨年11月、大阪工場(大阪市住之江区南港南)にフープ材の自動梱包装置を導入した。今回の自動梱包装置の導入は作業負担の軽減と効率化の推進、安全性と製品品質の向上が狙い。今後、状況に応じて効率化の設備改善を行っていきたい考え。

 同社は本社、大阪支店があり、工場は自社の大阪工場と、関係会社の白葉テックの東京工場(千葉県船橋市)の2拠点を持ち、ブリキ、ティンフリー、ローモ、ステンレス、亜鉛鉄板、表面処理鋼板などの加工、販売を行っている。

 大阪工場には大型レベラー2基、大型スリッター2基、ミニレベラー2基、シートスリッター1基があり、ブリキや薄板などを月間3000トン加工している。加工内訳はレベラーが3分の2、スリッターが3分の1。

 これまで梱包機は2台あったが、加工ラインからの運搬までは自動化となっておらず、反転機能もなく、紙巻き作業も非効率だった。このため、梱包作業の人員の負担は大きく、作業の効率面でも改善が検討課題となっていた。
A WA認証機構(松崎博彦会長)は、建築主などユーザーの立場から建築鉄骨品質のモニタリングを実施しているが、これを一層普及させるため、本年度(12月期)からモニタリングを行う検証会社を外部から募集・認定する、独自の認定制度をスタートする計画で、最終的な準備を進めている。

 AWA認証機構の事業目的は、中立・公平・透明性の高い建築鉄骨検査技術者のプロとして、建築鉄骨に関連した広い分野からAWA検査技術者を認証・登録(現在、約200人)し、建築主など顧客の立場から建築鉄骨の品質を検証(モニタリング)している。このモニタリング業務をさらに普及させるため、検証会社を外部から募集し、一定要件を備えている場合にのみ認定。

 AWA認証機構は当面、モニタリング業務を継続するが、将来的には認定機関に特化する方針だ。

 新制度がスタートした場合の検証業務の流れは、認定を受けた検証会社と建築主が契約した後、検証会社はAWA検査技術者で構成されるプロジェクトチームを組む。同チームが実施した検証内容をAWA認証機構に提出し、最高判定会議で審査。ここで検証成果が適切と判断された場合は建築主に結果が報告され、不適切であればプロジェクトチームに対して再検証や報告書修正が求められる。

 AWA認証機構では、昨年11月から建築鉄骨の品質検証(モニタリング)に関する傷害および賠償責任保険を整える“AWA責任保険制度”をスタートさせており、保険のバックアップを受けたモニタリング業務は今後、普及に弾みが付くと見られている。

東 京地区の異形棒鋼はベース2万7000―2万7500円と横ばい。メーカーの出荷量は高水準を保っており、太物サイズなどは窮屈な状態。新規の引き合いが少ないことなどから、先安と見た流通が安値で受注する動きもあるが、メーカーは減産強化を打ち出しており、全体として様子見の段階にある。

 1月の商社からメーカーへの発注は「20万d前後」(商社)などとみられ、12月を下回ったようだ。大型物件向けなどでメーカーの出荷は高水準だが、中堅以下のゼネコンは仕事量が少ないため、対応する流通の市況感にも違いがある。

 スクラップ安や他地区市況の軟化など、弱気の材料から上げ局面にはないという認識は共通のようだ。メーカーは追加減産と同時に新規の受注量を30%削減するなどで、先行きの需給緩和懸念を払しょくして価格を維持する方針で、当面はこう着した展開になりそうだ。