2000.04.07
神 戸製鋼所と日本高周波鋼業は、それぞれ6日の取締役会で、特殊鋼事業の再編強化のために神鋼が高周波による第三者割当増資を単独で引き受けることを決めた。これにより、神鋼の持ち株比率は従来の30・6%から51・0%となり、高周波は神鋼の子会社となる。また、高周波の主力特殊鋼製品である軸受鋼についても、その販売業務を神鋼へ移管するとともに、高周波で行っていた上工程の生産についても、神鋼へ移管する。

 両社は、これまで長年にわたり特殊鋼事業において提携・協力関係を構築しているが、今回の施策は、神鋼グループにとっての戦略品種をより一層強化する目的で実施するもので、特殊鋼分野への事業の集中と位置づけている。

 高周波では「経営改善計画」を1998年11月に策定し、その後、要員・組織・財務のリストラを全社一丸となって推進してきた。その結果、99年度下期までに体質強化を完了し、目標であった経常黒字化も達成できる見通し。

 こうしたリストラによる黒字体質の確立を出発点として、神鋼グループ全体の特殊鋼事業の拡大、発展、そして収益力の向上を図っていくために、高周波の子会社化による関係強化と軸受鋼の製販一体となるための事業再編が必要と判断した。さらに高周波では、2000年度から新たな「経営再編計画」をスタートさせ、高度な技術力を武器とした特殊鋼メーカーとして、収益力の強化に取り組んでいく考え。

 第三者割当増資は、発行株式総数4320万株(額面50円)を神戸製鋼へ割り当てる。

 軸受鋼事業体制の再編については、今年7月をメドに製販一体となった顧客に対する迅速な対応と営業強化を目的として、高周波の軸受鋼販売業務を神鋼へ移管する。この販売業務の移管に伴い、神鋼は高周波から軸受鋼営業要員を受け入れ、専属営業部を組織する予定。

 また、グループトータルとしてのコスト競争力強化のために、軸受鋼の製鋼―分塊―圧延までの上工程の生産移管を94年10月移行、段階的に進めてきたが、今年10月をメドに特殊なものを除き、全面的に神鋼へ移管する。この結果、神戸製鉄所の最新鋭の第7線材工場を活用した圧延技術と、高周波の伸線加工技術の融合が完成し、神鋼グループとしての最適生産体制が確立する。

 日本高周波の経営再編計画では、「特殊鋼事業の再編」「鋳鉄製品の販売業務移管」「金型・工具本部への再編」を実施するほか、総コストの削減や財務体質の強化をさらに加速する。その結果、高周波は特殊鋼事業に集中特化して軸受鋼の二次加工に加え、高級工具鋼、特殊合金、特殊ステンレスの生産・販売を拡大する。

N KKと川崎製鉄は6日、両社の4製鉄所の立地条件を活用した製鉄所運営の効率化を推進するため、(1)物流関連分野(製品搬送等の物流に関する業務)(2)補修関連分野(製鉄所設備の補修に関する業務)(3)購買関連分野(資材・原材料等の購入および在庫運用に関する業務)について、協力して検討することで合意したと発表した。

 近接して立地するNKK京浜・福山と川鉄千葉・水島の製鉄所間に従来からあった交流に加え、国際的な競争が激化する中で、協力関係をより深めることによって、一層のコスト削減、操業の効率化等を推進することをねらいとしたもの。

 なお、NKK京浜は高炉1基で粗鋼生産量297万トン(99年実績)、福山は高炉4基で同864万トン、川鉄千葉は高炉2基で同344万トン、水島は高炉3基で同678万トン。

新 日本製鉄は、北海道から九州まで全国での店売りH形鋼の「置き場渡し」適用を、順次拡大する検討を開始した。全国の中継地を活用することに加え、すでに一部実施している君津製鉄所に次いで、堺・八幡の両製造拠点についても、近く保有インフラを活用した「置き場渡し」に着手する。メーカー・流通一貫で物流コストの低減を狙う。

 すでに関東地区では99年度、君津製鉄所(日鉄商事向け)で従来の「特約店持ち込み渡し」から「置き場渡し」に一部を切り替えた。その後、日鉄流通センター・有明(堺製鉄所生産分=日鉄商事向け)でも「置き場渡し」への切り替えを一部で実施している。特約店が必要に応じて、製鉄所および中継地から自らの倉庫を経由せずに、二次店や最終需要家へ直送することで、メーカー・特約店一貫での物流経路の短縮・簡素化を図る。今後はこれを全国に拡大する。

 現在、店売りH形鋼は製鉄所からの陸上輸送や、中継地まで海上輸送し中継地からの陸上輸送により、特約店倉庫にデリバリーされ、特約店が在庫販売として二次店や最終需要家へ輸送するという、物流経路が主流となっている。

 97年度後半から需要の落ち込みを背景に、H形鋼店売り分野における製品市況は低迷が継続しており、最終需要家への販売価格に対するメーカー・特約店一貫物流コストの比率は20―30%前後に至っている。今後は製鉄所や中継地などの保有インフラを活用することで、物流コストを抑制する。

カ ノークスは6日、2001年度を最終年度とするグループ中期経営計画(2カ年)を策定したと発表した。収益構造の改革と財務体質の改善が2本柱で、最終年度以降10%の安定配当を目指す。

 中期計画は、急速、かつ激変する経営環境において「足元をしっかり固め、生き残りを図る」(應武善登社長)ことが狙い。このため本業である鉄鋼取引を中核に新規、深耕によって業容を充実させると同時に、収益構造の改革を強力に推し進める。

 具体的には、(A)これまでの地域戦略、商品戦略を抜本的に見直し、経営資源の適正配分を図る。このため中部地区の営業力増強と共に、関東地区の基盤強化を進める(今年10月までに東京支店を移転、同時に支社に昇格)。また商品的には主力製品の鋼板、鋼管、特殊鋼を拡充していく、(B)最終年度で赤字部所をゼロとする(赤字部所の赤字幅を初年度で半減、最終年度で完全黒字化)、(C)有利子負債残高を128億円から100億円以下に削減する(負債倍率を1・4倍とする)、(D)能力主義、成果主義の徹底など人事制度を改革する、(E)物件費の全面見直し(東京支店移転など)、(F)経営効率化のためイントラネットを年内に構築、またeコマースを早急に確立させる。このため社長がCIOを兼務し、計画を前倒しで実行。また情報システム課を情報システム部に昇格させる、(G)関係会社6社の全社黒字化と同時に連携強化を図る。

 連結の数値目標(2000年度、2001年度の順)は、(1)経常利益=3億5000万円以上、5億円以上(昨年11月発表1999年度2億2000万円見込み)、(2)資産圧縮による有利子負債の削減=22億円、8億円の計30億円、(3)ROA=1・5%、2・0%(1999年度1・2%見込み)、(4)キャッシュフロー改善=4億円、3億円に置いている。

新 日本製鉄系列の磨棒鋼メーカー、三昭鋼業(本社=東京都中央区、赤松克彦社長)は、2000年11月(決算期10月末)から、既存の磨棒鋼、鋼板などの在庫販売業、賃貸業の3事業に加え、環境分野を中心とした新規事業を立ち上げる。事業本部を確立し、4本柱での事業体制を構築する。すでに第1弾として、元旦ビューティ工業と共同で廃ガラスリサイクル会社を3月に設立。11月までに第2、第3の計画案件を具体化する。99年度の売上高は、前期比約27%増の92億円を予想するが、新旧事業のシナジー効果で拡大路線を強め、近い将来、売上高150億円規模を視野に入れる。

 三昭は、東京工場で磨棒鋼を製造し、羽田の加工センターでは、シャドウマスクや電子材、建材向けなどの在庫販売(一部加工)を行っている。また、和光流通センター(埼玉)で倉庫賃貸業務も手掛け、売り上げ構成はそれぞれ、40%、60%、10%。98年度は磨棒鋼の落ち込みを鋼板流通がカバーし、前期比約6%増の72億円強と回復。経常利益はトントンで、合理化から体質改善が進んでいる。

 将来を見据え、「収益の拡大には新たな事業展開が必要」(赤松社長)とし、「ここ5年間の構想」(大島進常務)を具体化していく。今回、エコ立県を主張する石川県の誘致を受け、屋根材で長年取引のある元旦と北陸3県(富山、石川、福井)の廃ガラスをリサイクルする「北陸元旦」(石川県)を設立。三昭は、45%出資の筆頭株主で、大島常務が非常勤取締役に就き、経営にタッチする。工場は、01年1月の稼働予定で、回収した廃ガラスを利用し路盤材を製造する。日産9万平方メートルで、年間売上高3億5000万円を目標とする。北陸元旦の社員15人は、全て現地採用。

 三昭ではこれを機に、現在計画中の案件を順次立ち上げていく。「全くの異業種ではなく、これまで培った営業ノウハウから生まれたもの」(赤松社長)で、環境事業だけでなく、取引先との提携で幅広い展開を志向していく。従来営業の一環との考えで、“持ち前”の営業力を源に、収益基盤の再構築を図る方針だ。



三 菱商事は鋼管事業の強化を図る。国内鋼管分野での事業拡大と輸出市況の底入れ・回復傾向などを背景に、2000年度売上高1000億円の大台乗せを目指す。

 同社の鋼管事業は、国内は三菱重工業向けなどのヒモ付きと特約店向けの店売りのほか、大手溶接継手メーカーのベンカンとの素材・製品両面での取引などを、輸出は油井管、ラインパイプをそれぞれ主力としている。99年度売上高は国内市況の低迷とシームレス鋼管など輸出の数量減・価格下落など両分野の落ち込みから、国内、輸出各300億円に支店を合わせて750億円レベルまで減少した。

 しかし、99年末からの油井管市況の改善傾向に伴い、輸出部門の回復が見込まれている。一方、国内市場は依然として回復の兆しは見られないものの、大手特約店のオトフジ(中上明也社長)をグループ化、経営主導することも含めて、関係特約店との取引を強化しながら事業を拡大し、売り上げ増加を目指す。

 三菱商事は米国・ハンタバレーで運営する半導体製造装置用高純度パネルなどのメーカーである「ウルトラ・クリーン・テクノロジー・システム・アンド・サービス社」(UCTSSI)が、99年度から生産・売り上げが増加に転じるなど、海外事業の安定推移も見込まれている。今後、輸出の回復傾向と国内部門の拡大を支えに、鋼管事業の収益基盤の強化を図る。

高 炉筋がまとめた高炉大手5社の2月の出銑量(5社合計)は20万507トン(1日当たり)で前月比3・7%減だが、引き続き20万トン台の高水準を維持している。出銑比は1・98で同横ばい。おう盛なアジア向け輸出を背景に、各社の上工程はフル操業の状況が続いている。

 5社合計の燃料比(銑鉄トン当たり・キログラム)は513・3(前月513・5)でコークス比は383・9(同385・5)、PC比は128・4(同127・0)でコークス比低下・PC比上昇により燃料コスト削減も進行し、増産基調によるコスト増を克服している状況と言える。

大 阪地区の縞板はメーカーの値上げを受け、扱い業者が唱えを引き上げてきており、市況は5万8000円(トン当たり、3・2ミリ厚、4×8サイズ)どころで強含み。

 主力メーカーの中山製鋼所が4―5月積みで3000円の値上げを表明した。供給自体は限定されている製品だけに、先月の流通の入荷はコイル、シートともに通常ペース。在庫もコイルセンター段階で在庫率が1―1・2カ月とほぼ適正な水準にある。ただ、需要は建築関係、工場、機械、土木関連が低調なこともあって、市中の荷動きは不振。

 ただ、メーカーの値上げした製品の入荷が先行き、本格化するだけに、流通各社はすでに先月から唱えを引き上げ、これが一部で浸透してきている。当面、流通の強気の販売が続く見通しだ。