2000.03.02
三 菱マテリアルの99年度のアルミ缶リサイクル率は前年度の85%から急落し62%程度になる見通しだ。同社は昨年からアルミ缶リサイクル事業をコスト重視に方向転換しており、アルミ缶スクラップ(UBC)の回収量が3万6000トンと前年に比べ約1万トン落ち込んだことが響いた。リサイクル率が大幅なマイナスに転じたのは、同社がアルミ缶リサイクル事業を開始した76年以来初めて。

 同社の99年度(99年4月―2000年3月)のアルミ缶回収量は約3万6000トンと前年の4万6000トンから1万トンの大幅減となる見込み。アルミ缶の販売数量は約5万8000トン(約36億缶)で前年比4000トン増となることから、リサイクル率は約62%と前年の85%から23ポイント下回る。

 同社はアルミ缶リサイクル事業の先駆者として約25年の回収実績を誇り、ここ数年は年率10%近くリサイクル率を伸ばしてきた。

 しかし、2、3年前から二次合金メーカーなどの相次ぐ市場参入で競争が激化。このため、昨年からは従来の拡大路線を見直し、回収目標を設定しない収益性重視に方針変更した。この結果、回収量は大幅に落ち込んだものの、「業界全体としては市況の安定につながった」(中司征洋アルミ事業本部原料・リサイクル部長)としている。

 今後は関東など大都市圏だけでなく、地方の回収業者とのタイアップを強化することで、「地場で発生する丸缶の処理に力を入れる」(同)など、きめ細かい対応を図る考えだ。

 アルミ缶リサイクル事業は回収率が75%近くまで上昇し、これまでの「回収量拡大」から「コスト重視」に業界全体が確実に方向転換しつつある。今後は新地金のとのコスト競争でより安く再生地金を製造できるかどうかが大きなカギとなる。そのためには生産工程の見直しや歩留まりの向上などに一層の工夫が求められる。

伸 銅品の納期が軒並み遅れ、今月以降も納期は改善されそうにない見通しである。メーカー各社は工場レベルで人員を削減した後、半導体など情報通信関連向けの受注が増加したため、生産が需要に追いつかない。また、出遅れていたエアコン向けの伸びも生産を後押ししている。伸銅品は当面、電子材分野を中心におう盛な荷動きが続きそうだ。

 銅条、リン青銅板・条を筆頭に納期遅れが恒常化し、これらに黄銅条を加えると、半導体用リードフレーム、端子・コネクターなど電子材を中心に国内外からの受注ラッシュが続いている。これら3条はユーザーからの薄肉化要求により圧延工程が手間取るため、メーカーは納期遅れを解消し切れていない。

 例えば、0・3ミリから0・2ミリの極薄物の場合、通常時は1カ月程度の納期が1カ月半から2カ月に長期化する状態が続いている。

 板・条メーカーは電子材に特化する生産体制を組んでいる反動で、板は後回しになりがちなため、品種によって2カ月から3カ月へとさらに納期が延びているケースもあるようだ。

 黄銅棒も同様な状況。通常なら3―4週間の納期が1カ月半から2カ月に遅延化している。背景としては3条と同じように情報通信関連の需要が増加しているほか、昨年末から動き出したエアコン向けの6角、鍛造などが立ち上がり、一部在庫に欠品が見られるようになった。

 主な黄銅棒メーカーはリストラを断行した後におう盛な受注が入ったものの、現行の人員体制で対応していることもあって、納期遅れはしばらく解消できない模様。

日 鉱金属は1日、3月積み銅建値をトン1万円引き下げて23万円とすると発表、即日実施した。今回の措置により、月間平均建値は5000円値下がりした。

 国内建値の指標となる海外銅相場は、前月末から投機筋の整理売りの動きが活発化。ここ数日、下限ラインを試す展開となっており、この日入電でもLMEで現先ともに1700ドル台前半まで落ち込んだ。また、NYC現物でも80セント台割れの状態が続いている。

 為替動向は、TTS1ドル=112円台から110円台へと円高に反転したところで小康状態にあるが、海外銅相場安を受けて推定輸入採算値(諸掛かり費用含む)は、LMEセツルメント・ベースで23万円を下回り、今回の引き下げ改定につながった。

三井金属は1日、3月積み亜鉛建値をトン当たり16万円で据え置くと発表した。前月の平均建値に比べて700円高となる。

 1日入電のLME亜鉛セツルメントは1065・5ドルで円換算11万7684円、関税4300円を加えると12万1984円、諸掛りを3万8016円と見ている。

 これに伴い、ダイカスト用亜鉛合金販価も据え置き、ZACbP=19万8000円、同bQ=20万8000円、ZAS=21万8000円とした。

三菱マテリアルは1日、3月積み鉛建値を据え置き、トン当たり8万5000円と決めた。同建値は昨年11月12日に3000円値下がりして以来、3カ月半にわたり8万5000円の横ばいで推移している。

 1日入電のLME鉛セツルメントは447ドルで円換算4万9371円、関税2700円を加えると5万2071円、諸掛りを3万2929円と算出した。

東 邦チタニウムは前月29日、本業のチタン部門の合理化などを柱とする収益改善策を発表した。航空機業界の低迷でスポンジチタンの販売不振が続いているため。具体的には今年4月末をメドにチタン部門を中心に人員を削減、全体で20%減らす予定。また、2000年度から2002年度までの間に約20億円を投じてチタン製造を効率化、生産コストを30%引き下げる計画。一方、拡充を急ぐ電材事業は需要好調なコンデンサー用ニッケル超微粉を増強、10月までに現状比3倍の月15トン体制を整えてチタンの不振を補う考え。このほか、4月からは執行役員制度を導入して意思決定の迅速化を狙う。

 チタンは大口需要家である航空機業界の低迷で需要が世界的に伸び悩んでいる。同社でも昨年秋からスポンジチタンの減産を迫られているが、販価下落も加わって業績は悪化。99年度は単独で売上高180億円(前年度比6・6%減)、最終利益3億5000万円(同55・4%減)の減収減益を予想している。

 今回発表した改善策は売り上げ全体の約7割を占めるチタン部門の見直しが大きな柱。4月までに自然減や関係会社への出向などで同部門を中心に人員を削減。全体の人員を現在の608人から約20%減らして500人以下とする計画で、年間約6億円の労務費減を見込んでいる。

 また、チタン部門の合理化投資も並行して実施する考え。米国などではスポンジチタンの在庫が積み上がっており、同社では来年度以降も厳しい状況が続くと判断。このため、来年度からの3カ年計画では生産性向上を追求。具体的には還元分離炉のバッチサイズの大型化を図るほか、反応冷却時間を短縮するなどして、設備生産性と労働生産性を50%向上。最終年度の2002年度までには生産コストを30%引き下げる。

 チタン以外の部門については触媒部門の完全分社化を進める一方、電材事業に経営資源を集中させて収益確保を狙う。同事業の主力は世界トップシェアを持つ高純度酸化チタンを筆頭に、昨年夏から量産開始しているニッケル超微粉、今年4月から立ち上げるチタン酸バリウムなどがある。

 中でも、ニッケル粉は積層セラミックコンデンサーの内部電極に使われるもので、ここ数年は携帯電話向けの需要が激増中。このため、同社では茅ヶ崎工場内に月産10トンのプラント建設を決定、新プラントは10月稼働予定で投資額は8億円。電材事業の売り上げ規模は99年度で約18億円(同18・6%増)になる見込みだが、来年度はさらに増収を計画している。

 これら一連の施策に伴い、4月1日からは執行役員制度も導入する。機能分担による責任の明確化、業務執行の迅速化が狙いで、取締役数を現在の13人から10人に減らす。

東 邦チタニウムは前月29日、今年9月末をメドに触媒事業部門を分社化すると発表した。全額出資する触媒製造子会社に営業などを移管したうえで、資本金を増資。社名も「東邦キャタリスト梶vに変更する。触媒事業の製造と販売を集約することで効率的な事業運営を目指すのが狙い。この結果、本体は本業のスポンジチタンと電材事業に集中することになる。

 同社の触媒事業が手掛ける主力製品はプロピレン重合用触媒「THC」。同製品は家庭用品や自動車などの幅広い分野で利用されているポリプロピレン向けの触媒。製造拠点は本社がある同社茅ヶ崎工場(神奈川県茅ヶ崎市)と、98年に設立した子会社の東チタ触媒黒部梶i富山県黒部市)の2拠点。生産能力は茅ヶ崎工場が年85トン、黒部工場が同40トン。98年度は同事業だけで39億5200万円の売上高を計上、全売上高の2割を占めている。

 今回分社化を決めたのは、需要家であるポリプロピレン業界が世界的な再編の流れにあるため。製造子会社の東チタ触媒黒部に本体の触媒事業を譲渡することで、需要家への迅速な対応を図る。10月1日からの再スタートに伴い、東チタ触媒黒部は社名を変更するとともに、資本金を現在の3億円から10億円に増資。新会社には本体から約100人の人員が移って120人体制となる。本社所在地は現状のまま。増資については親会社が引き受け、引き続き全額出資子会社とする。

関 口冨美雄商店(東京・雷門、関口泰宏社長)は1日、3月の伸銅品店頭販価のうち、メーンの洋白を前月末に比べキロ9―14円、リン青銅の一部を1円それぞれ値上げすることを決めた。洋白の値上げは最近のニッケル高によるもの。

 品種別の店頭販価は次の通り(単位キロ当たり円、ベース価格、カッコ内は前月比)。

 ▽バネ用洋白板=1383(+11)
 ▽洋白板2種=1135(+9)
 ▽洋白線2種=1200(+14)
 ▽快削洋白棒=1427(+13)
 ▽バネ用リン青銅板=998(0)
 ▽リン青銅板2種=844(+1)
 ▽リン青銅線2種=967(+1)
 ▽快削リン青銅棒=1034(0)
文 化シヤッター(本社=東京都板橋区、亀谷晋社長)は、機構部のコンパクト化によりデザイン性と操作性をともに高めた自動閉鎖装置付引戸・カームスライダー「コンパクトスリム」=写真=を3月1日から全国発売した。

 自動閉鎖装置付引戸は、床面にレールを必要としないため、バリアフリー対応の自動閉鎖式引戸として病院や福祉施設などの出入り口用として広く普及しているが、オフィスや住宅等を含めた幅広い用途に対応するバリアフリー製品として今後の成長が期待されている。

 今回発売された「コンパクトスリム」は、新開発のコンパクト化した開閉機構の採用により、上枠部の見付けが120ミリと従来品の200ミリに比べて80ミリスリム化し、同部の絞り加工と相まってデザイン性を高めた。また、扉を開ける時の力が7・8N(800グラム)から5・8N(592グラム)と、従来品に比べて約25%軽くなったのが特徴。

 同社では、従来機種の汎用タイプについても同時に新型開閉機構に切り替え、「軽い・静か」という基本性能をさらに高めていくとしているほか、今後も高齢化社会に対応した人と環境にやさしい商品の開発を積極的に進めていく方針。

古 河機械金属は25日、土木・鉱山機械販売の古河さく岩機販売(本社=東京千代田区、常石昭弘社長、資本金4億円)が建設機械販売の古河建機販売(同=同、相馬信義社長、同1億円)の営業を全面的に譲り受け、3月21日付で新会社「古河機械販売梶vとしてスタートする、と発表した。系列の両社を統合することにより、営業の効率化、間接経費の削減などを図る。

 新会社の本社所在地は、東京都千代田区丸の内2−6−1。資本金は4億円。年商規模は170億円。社長に和田勲氏が就く。