鉄リサイクリング・リサーチ(本社=茨城県北相馬郡利根町、林誠一社長)は、6日に発表した調査レポート『目が離せない中国のスクラップ輸出』で、中国の鉄スクラップ輸出は一過性の現象ではなく、鉄鉱石価格動向次第では今後も輸出展開はあり得る指摘。中国国内の電炉メーカーや高炉メーカーの購入促進などで消費が進む可能性はあるものの、地条鋼廃止によるスクラップ余剰は2017年中に解消されるのは難しいと推測している。
中国の鉄スクラップ輸出は17年4月以降で増加が顕著になり、3月は653トン、4月は1万5360トン。5月は8万251トンに拡大。切削・打ち抜きスクラップが全体の55%を占め、増加率も高い。同レポートは5月に関し、輸出先は東南アジア向けが主体で、切削・打ち抜きスクラップ、その他スクラップが中心。その他スクラップの平均輸出価格はベトナムやマレーシア、インドネシア向けなどでトン112―119ドルとし、雑品の解体スクラップなどローグレード品と想定。中国と韓国間の輸出入差異は1200トンであり、両国間の流通は渤海湾を有効に使用し、盛んになると予想する。
また、同レポートでは、中国鉄スクラップに関する香港経由貿易の存在を指摘。香港の鉄スクラップ輸入量は5月が3万1000トンで、うち中国からのその他スクラップは1万5000トンと前月比2倍に拡大。輸出も5月は2万6000トンと同2倍近くに増加していることに注目。5月は香港から日本に1500トン輸出されているが、中国海関統計によると日本向けはゼロであることから、トン158ドルの輸出単価を考慮した場合、T社(東京製鉄)福岡入着900トンは香港経由であると類推。その一方で、日本の通関輸入量は中国から1350トンの実績があり、香港経由の輸出メリット調査を含めて、中国の輸出を把握する場合、中国データのみでは欠落する可能性があると示唆した。