2017年5月10日
グローバルメタルシンコウ、モータースクラップ再資源化 国内完全処理取り組む
グローバルメタルシンコウ(本社=京都市、中村年男社長)は、家電製品などに使用されているモータースクラップの国内完全リサイクルに取り組んでいる。自社設計のシュレッダープラントをモータースクラップの再資源化に特化させ、破砕や選別などの処理工程の精度・処理量を大幅に引き上げたほか、国内での完全再資源化に向けた集荷から処理選別後のスクラップ販売、ダストの再利用までの一貫体制を構築。特にモーター類は選別処理などが難しい「処理困難物」のため、処理コストの安い中国向け雑品スクラップとして輸出されるケースがあるものの、同社では破砕処理のノウハウなどを強みに取引先の拡大へとつなげたい考えだ。
モータースクラップは、エアコン室外機などの家電製品や自動販売機に使用されている冷却用コンプレッサー(黒モーター)、工業系モーターなどがあり、家電由来のモーターについては主に家電メーカーのリサイクルプラントで再資源化されている。一方、モーター類は全般的に銅やアルミなどの非鉄金属が複雑に組み込まれているために選別処理が難しく、処理困難物の一つとして挙げられており、特に黒モーターについては選別処理前に厚みのある鋼板カバーの取り外しにプラズマやガス切断が必要となり、処理コストが高くなる傾向にある。
このため、処理コストの安い中国向けに雑品スクラップとして輸出も行われてきたが、同社では以前からモータースクラップの資源価値に着目し、国内再資源化へ向けてモーターの破砕・選別処理の高度化・効率化を推進。昨秋にはシュレッダーを一基導入するなど設備面を強化した。
黒モーターから回収した鉄スクラップ(左)と銅
同社ではモーター類であれば種類やサイズを問わず、破砕や選別処理が可能で、家電メーカーのリサイクル施設から出るモーター類をメーンに取引を拡大。自動販売機、OA機器関連のものや工業系モーター、トランスなどのリサイクルも手掛ける。
特にモーターについては製造技術の流出リスクなどもあり、「製造元からの機能破壊を含めた国内完全処理のニーズが高まっており、処理依頼が増加している」(同社)という。
トランスから回収した銅
さらにここ最近は中国の黒モーター輸入規制の取り締まりが強化され、国内処理の必要性がより高まるとみられていることもあり、同社では取引先のニーズに対応した適正処理と処理量の拡大を目指す方針。また、将来的に排出量が増えるとみられる電気自動車用モーターの処理にも着手、完全リサイクル化を目指すとしている。
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