8月1週のレアメタル国際相場はまだら模様。マクロ経済の不透明感から、引き続き世界的に実需は停滞傾向にある。ただ、一部メタルでは生産調整や中国政府による国家備蓄などで供給過剰が解消に向かっている。電池分野で消費されるコバルトなど、安すぎるとみられていた一部メタルは上伸の気配を見せる。7月中旬に、米国とEUが中国のレアメタル輸出規制について世界貿易機関(WTO)に提訴したが、足元では国際スポット価格への影響は小さい。
コバルト(純度99・3%)はポンド11・9ドル前後に上昇し、9カ月ぶりの高値圏。車載用などにリチウムイオン電池需要が拡大していることが背景にあるが、「需要の伸びに対して、今までの価格がおとなしすぎた」(レアメタル商社)と上げ遅れの印象もあり、扱い筋は続伸の余地があるとみている。
セレンはポンド11ドル前後に続伸。4―5月に13年ぶり安値となる5ドル近辺まで下げていたが、6月ごろから急反発して1年ぶりの高値に到達した。海外からの買いオファーも増えており、「マンガン製錬触媒向けが悪かった中国からも注文が出始めている」(製錬メーカー)と、市況回復が鮮明になってきた。