2016年2月4日

トヨタ自動車の国内生産休止で中部地区スクラップ発生減 短期的に影響大

新断など短い期間にタイト化の公算
中部地区鉄スクラップ市況は、愛知製鋼の圧延工場トラブルに端を発したトヨタ自動車の国内生産休止により、需給環境が急変する可能性が出てきている。トヨタ系部品メーカーでは8―13日までのトヨタ自動車の組立工場の操業停止期間の減産や一部休業を決定または検討しており、域内スクラップ発生の重要部分を占めるトヨタ自動車関連工場の発生減は短期的ながら強い影響を及ぼしそうだ。

愛知製鋼では事故後にスクラップの一時荷止めを行ったが、前月18日以降は平常通りの荷受けを継続。地区内では大同特殊鋼などに一部生産委託も行っており、目先のスクラップ需要における下振れ懸念は後退しているが、来週から一部部品の調達が難しいと判断したトヨタ自動車が生産休止を実施することで、需給双方に影響が拡大。一次、二次下請けメーカーでは来週の休業や減産対応に動いている。

そのため関連企業からのスクラップ引き取りをメーンにするリサイクル企業でも、4月以降のトヨタ自動車及び関連企業の生産振替を視野に来週の一部休業を検討する動きもある。ただ、従来のトヨタ自動車の生産計画に基づいた部品供給において「一部の供給が遅れていたメーカーでは通常の規模で生産を続ける企業もある」(ヤード筋)ことに加え「トヨタ系部品メーカーでも未だに来週の対応を決めかねている向きも多い」(同)不透明な状況に、ヤード筋もシフト対応に追われている。

またトヨタ自動車で発生するスクラップを使用するグループ系鋳造メーカーでは、トヨタ自動車の生産休止に伴う原材料調達の停滞を背景に「在庫管理などを強め生産計画を見直しているが、100%の操業は不可能」とし、一部休業なども検討。総じて新断など工場発生スクラップの需給は発生の減少でごく短いスパンにタイト化する公算が大きく、特に鋳造向け新断など用途が限定される品種については「高値スポットによる調達が増えてきている」(商社筋)状況になっている。

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