2015年4月3日
新日鉄住金・日本鉄板、おもてなし チタンで空間に彩りを 茶室フォーラム開く
茶室空間でビジネスのおもてなしを――新日鉄住金と日本鉄板は1日、東京・京橋のイトーキ東京イノベーションセンターSYNQAで「茶室フォーラム―おもてなし空間の精神―」を開催し、建築家やデザイナーら約100人が出席した。建材としてのチタン需要を掘り起こす目的で初めて開いた。講演では世界的建築家・隈研吾氏と数寄屋大工棟梁・木下幹久氏を招いた。
あいさつで松木教彰チタン・特殊ステンレス事業部長は「チタンと言えば軽くて耐食性が高いことが知られている」とした上で「実は酸素と結合しやすく、酸化被膜の厚みを調整することで色づきがよく見える意匠性で注目されている。人工歯根や骨など人体に優しい金属として生体合成にも優れている」と述べ、デザイナーや建築家を前に素材としてのチタンをPRした。
松木部長は建築素材としてのチタンを満開の桜に例え「ぜひ皆さんがデザインされる室内空間の中で、チタンが花開く日を切望している」と結んだ。
講演では数寄屋大工棟梁・木下幹久氏が薬王院の茶室屋根をチタン葺き(チタンブラスト処理)で手掛けた事例を紹介。「銅板葺きでは時間がたてば銅が溶け出し殺菌作用のある雨水が地面を打つことで(日本庭園に不可欠な)苔が枯れる。耐久性・意匠性の面でもチタンが有効だった」と述べた。
木下氏はハマグリという難加工にも挑戦し、「23年たっても風景が全くそがれない」美しさを維持していることを強調した。同氏は「屋根は建物を守る」を自論に、チタンの採用を決めたエピソードを語った。
新日鉄住金のチタン建材は、渋みのある落ち着いた表面仕上げがいぶし瓦の雰囲気に合っていることや、軽量で耐久性に優れるチタンの性能などが施主に評価され、既に金閣寺茶室(常足亭)や佐川美術館茶室(楽吉左衞門館)をはじめ数多くの伝統的日本建築の茶室に採用されている。
今回のフォーラムを通じ、多くの建築家と施主にチタン建材の良さを知ってもらい、茶室や神社仏閣その他の建築物へのチタン建材の採用を働き掛ける。
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