2014年10月30日
スティーブ・ジョブズ氏は”ステンレス好き” SUS316L、「アップル・ウォッチ」に採用
ステンレスの新たな世界的需要が来春にも生まれる。先ごろ、米アップル社が発表した腕時計型ウエアラブル端末「アップル・ウォッチ」。現在までに3機種の発売が予定されているが、このうち一般機種の素材に、高耐食性ニッケル系ステンレス「SUS316L」の鏡面研磨仕上げを使用した製品が使用される。1個当たり数十グラムと推定されるが、世界的な拡販となれば、ステンレス業界にとっては明るい話題となりそうだ。
アップルが発売する画期的な端末に、再びステンレスが採用された。前回、同社がステンレスを採用して世界的に大ヒットした「iPod(アイポッド)」は、ボディの裏蓋全面がSUS304のステンレス鋼板であり、日新製鋼が供給。1台当たり約85グラムを使用した。新潟県に拠点を置くコイルセンターが加工し、新潟市の小林研業が研磨を施した経緯がある。
アップルの創業者、故スティーブ・ジョブズ氏は”ステンレス好き”として、業界では知られている。特色である耐食性に加え、「メタル独特の美観性、剛性のほか、研磨時にはステンレスとしての機能が一段アップする特性に惚れた」(メーカー関係者)という。
来春にも発売されると言われるアップル・ウォッチでも、ステンレスの優れた機能性が強調されている。強度と美しさを保つため冷間鍛造のSUS316Lを使用。ケース部分には縦42ミリと同38ミリの2種類を用意した。リンクブレスレットにもSUS316Lが使われ、「部品数は100を超える」(アップル広報部)という。
アップル・ウォッチは、アップル独自のRetinaディスプレイを搭載。アイフォーンと連携したさまざまな技術的工夫により、世界標準時との誤差を0・05秒以内にとどめるなど、端末だけでなく、時計としての機能も充実している。国内のステンレス扱い業者が、アップル特需に沸く日が近くやって来るかもしれない。
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