普通鋼電炉メーカー大手16社(連結10社、非連結6社)の2014年3月期決算が14日に出そろった。14年3月期は建築、土木ともに需要が回復し、H形鋼など形鋼類や厚板の生産・販売は堅調に推移し、市況も上昇。ただ一方で、異形棒鋼は鉄筋工不足など建設現場の労務問題が解消されず、出荷停滞が常態化。13年10―12月で鉄スクラップ価格が急騰するなど、再生産可能なメタルスプレッド(原料購入価格と製品販売価格の差)を確保できない状態が続いたことで、異形棒鋼電炉メーカーは赤字操業が続いた。
前期比で売上高は中山製鋼所を除く15社が増収。経常損益はJFE条鋼と大和工業、大阪製鉄の3社が増益となり、また東京製鉄と中山製鋼、販売が大幅に回復した中部鋼鈑と日鉄住金スチールの4社が黒字に転換した。その一方でトピー工業、共英製鋼、東京鉄鋼、東京鋼鉄の4社が減益となり、合同製鉄と北越メタル、中山鋼業が赤字に転落したほか、朝日工業が2期連続、伊藤製鉄所は4期連続でそれぞれ赤字になるなど、異形棒鋼を生産する普通鋼電炉メーカーにとっては苦境の1年になった。共英製鋼は大阪工場、朝日工業は埼玉工場の減損損失をそれぞれ計上。