ロンドン金属取引所(LME)は6日、マーティン・アボット最高経営責任者が退任すると発表した。2012年にLMEを買収した、香港証券取引所(HKEx)のグローバルマーケット部門共同責任者も務めており、この職も辞する。年内いっぱいは現職にとどまり、新体制への円滑な移行に尽力する。LMEは時期をみて後任者を発表するとしている。
アボット氏は退任理由について、HKExとの統合が順調に進んだことを挙げている。LMEのサー・ブライアン・ベンダー会長は、「LMEがアジアで将来成長していくため、HKExを売却先にしたのは正しい選択だった。この過程におけるアボット氏の働きに感謝する」と公式コメント。HKExのチャールズ・リー最高経営責任者も、買収プロセスにおけるアボット氏の知見と経験に謝意のコメントを寄せた。
アボット氏は06年10月、LMEの最高経営責任者に就任。任期中、中国経済の急伸長などを背景に、LME金属価格は最高値圏へと奔騰した。11年、LMEに対して複数企業から買収案が持ちかけられ、翌年7月、HKExによる買収をLMEが承認、12月に手続き完了した。
アボット氏は金属業界で30年以上の経験を有し、前職は欧米の大手金属専門紙メタル・ブリテンおよびアメリカン・メタル・マーケットの社長・発行人だった。