2012年12月6日
東北大、磁石レスで大出力トルクのモータ開発 レアアース不使用
東北大学大学院工学研究科の一ノ倉理教授らはこのほど、レアアース磁石を一切用いずに現状のレアアース磁石モータなみのトルクを有するアキシャルギャップ型スイッチトリラクタンスモータを世界で初めて開発した。今後は、電気自動車への適用および走行試験などを通じて、実用化に向けた検討をさらに進めていく。
環境保護や省エネルギーの観点から、普及が進んでいるハイブリッド自動車(HV)や電気自動車(EV)の駆動用モータには、強力な磁力を有するレアアース(希土類)磁石が使用されているが、レアアースは、産出される地域が偏在しているため、常に供給の不安定さと価格高騰のリスクにさらされている。そのため、最近では、レアアースの使用量を削減した磁石の開発や、レアアース磁石を安価なフェライト磁石で代替する試み、リラクタンスモータなどの磁石レスモータの見直しなどが、産学官研究機関で行われている。
スイッチトリラクタンスモータは、固定子が鉄心と巻線、回転子は鉄心のみという単純な構造の磁石レスモータで、非常に頑丈で高温に強いという特長を持つため、HVやEV用駆動モータとして期待されているが、同じサイズのレアアース磁石モータに比べるとトルクが小さいという問題が指摘されていた。
上記の課題に対して、我々の研究グループは、鉄―コバルト系の高磁束密度磁性材料を鉄心に使用することにより改善を目指してきましたが、コバルトを大量に使用するため、コストが問題だった。
そこで、SRモータの構造を見直し、一般的なラジアルギャップ型からダブルロータタイプのアキシャルギャップ型に変更することで、大幅にトルクが改善し、さらに、鉄心材料に高コストの鉄―コバルトを使用せず、通常のモータ鉄心材料であるケイ素鋼板を利用することによりコストの削減を図った。
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