三菱マテリアルは21日、ガリウムのリサイクル技術を開発したと発表した。発光ダイオード(LED)などに使うガリウムヒ素やガリウムリンといった、化合物半導体の製造工程で発生するスクラップから、低コストで環境に負荷をかけずにガリウムを回収する。
一般的なガリウムのリサイクル方法は、コストや環境負荷がかかり過ぎる課題を抱えている。スクラップを薬液で全量溶解してからガリウムを抽出して回収するため、ガリウム以外の金属も溶解させることになり、大量の薬液を使うからだ。
三菱マテリアルが今回開発した技術では、スクラップを全量溶解しないで、スクラップの中に含まれるガリウムだけを抽出する。使用する薬液の量を大幅に削減することができるため、その分コストと環境負荷が低くなる。また回収したガリウムを独自の技術で純度99・99%の高純度に精製して、再び化合物半導体などの製造工程に供給できる。
ガリウムはガリウムヒ素やガリウムリン、窒化ガリウムなどの化合物半導体として、液晶表示装置や携帯電話、LED照明などに使われている。CIGS(銅・インジウム・ガリウム・セレン)太陽電池や次世代液晶表示の透明電極に使うIGZO(インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物)などの用途でも需要拡大が期待されている。