2012年11月13日
昭和電線ケーブルシステム、効率10倍の熱電発電デバイスの開発
昭和電線ホールディングスの事業子会社、昭和電線ケーブルシステムは9日、熱電変換効率を従来比10倍に高めた、熱電発電デバイスの開発に成功したと発表した。
高温域対応の酸化物熱電変換素子に、低温域対応の金属系熱電変換素子を組み合わせた。今後、三重事業所(三重県いなべ市)で実証試験を行い、早期の実用化を目指す。熱電発電は、工業炉などの廃熱から電気エネルギーを取り出す技術。
昭和電線はこれまで、セ氏600―800度の高温域に対応する酸化物熱電変換素子の開発を進めてきた。今回、300度以下の低温域に対応する金属系素子と重ね合わせる構造を採用し、デバイス出力を1平方メートル当たり2000ワットに高めた。2011年に従来素子で行った、三重事業所での実証試験と比較して、約10倍の出力に相当する。
デバイスの寸法は150×150×400ミリメートル、受熱部の最高温度は700度。熱源側から酸化物系モジュール、金属系モジュール、水冷板と重なる構造。温度差を大きくすることで熱電変換効率を高めた。水冷には設備周辺の工業用水を使う。
想定発電量は、150×150ミリメートルの高出力デバイス1個を、稼働率80%で1年間使った場合、累計340キロワット時。2000×1000ミリメートルの太陽光パネル1枚を、稼働率12%(日中の稼働を想定)で1年間使った発電量に相当する。
三重事業所の銅裸線製造用の工業炉で、年内に予備試験を行い、1月から本格的な実証試験に入る。工場内照明への給電や、工場内機器のバッテリー充電に利用する計画。
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