住友電気工業は14日、世界初の独自鋳造・圧延加工によるマグネシウム合金「AZ91」板材開発および量産化に成功したと発表した。AZ91合金板材は、すでに実用化されているAZ31などのマグネ合金板材に比べ強度・耐食性で優れ、よりデザイン性の高い塗装や金属調の美感をアピールした表面処理が可能。
AZ91合金板材の主な特長は、AZ91合金鋳造材と比べ強度が1・5倍以上、伸びは10%以上を達成。高さ1メートルからコンクリートへ落下させる試験では、AZ91合金板材をプレス加工した筐体試作品がほとんどへこみを生じさせないのに対し、同じ厚さのAZ91鋳造材は割れが生じた。同様にAZ31合金板材やアルミ合金板では、大きなへこみが発生。またプレス加工性については、AZ31合金板材と同等の性能を確保している。
また、使用できる塗料の自由度が高いため、デザイン性の高い塗装が可能。従来のマグネ合金では困難とされたダイヤカットによる研削加工や金属調の表面処理も実現した。さらに、マグネ合金板材普及に向けた課題の一つである低コスト化を進めるため、AZ31合金板材に比べシンプルな製造プロセスを開発。今回の独自製造技術は、従来技術では板材化が困難な他のマグネ合金への応用も可能にしている。