2010年6月17日
愛知製鋼、新耐熱ボンド磁粉開発 ディスプロシウム無添加で保磁力向上
愛知製鋼は16日、ディスプロシウム(Dy)を添加せず、150℃の高温環境での保磁力、酸化ロスの信頼性を向上させた、新合金のネオジム系異方性ボンド磁粉「マグファインMF18P」を開発した、と発表した。
新製品は、ネオジム、鉄、ボロン(NdFeB)を主成分とする合金。インゴットの結晶を微細化し、緻密で均一な非磁性の粒界フィルムを形成させることで、保磁力を14KOeから20KOeに引き上げるとともに、酸素を遮へいするマイクロカプセル技術で耐酸化性も高め、従来5%程度の添加が必要だったDyを使うことなく、150℃の高温環境下での使用を可能としている。磁力はフェライト磁石の5倍。
これまで、モーター用の磁石には保磁力を高めるため、Dyを使用することが一般的だったが、価格の高さや産出が中国一国に限られることによる、将来的な調達への懸念などが課題となっていた。同社のマグファインは、それをクリアする画期的なもの。05年には最高120℃環境で使用される自動車ボディー系や、家電分野用モーター向けの磁粉を開発し、モーターの小型化(従来品との体積比50%減、同質量比40%減)を実現していた。
今回の150℃耐熱磁粉の開発により、ABS(ブレーキ)、EPS(パワーステアリング)、燃料ポンプなどすべての自動車用ユニット系モーターへの使用を可能とした。価格面でも、150℃環境で使用する従来のDy添加磁粉に比べ、20%強程度の低減につながるとしている。
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