住友電気工業は23日、アンモニアガス分解除害装置を開発したと発表した。独自材料のニッケル多孔質金属体「セルメット(商品名)」と、ナノサイズのニッケル金属微粉末を使い、数十%以上の高濃度のアンモニアガスを環境排出基準の25ppm以下に分解できる。窒素酸化物(NOX)や二酸化炭素(CO2)の排出がなく、小型で低消費電力の設備を実現した。
開発品は集電体、マイナス極、固体電解質、プラス極、集電体という5層構造の素子を使う。集電体に通気性と導電性に優れるセルメット、マイナス極に高性能酸化触媒のナノニッケルを採用した。
分解後のガスはNOXを含まない。分解過程で液化天然ガスなどによる燃焼がないので、CO2の排出量もゼロにできる。ガス分解時に発生する電気エネルギーを設備運転電力に還元でき、20%以上の省エネ運転が可能。また、吸引ファンなどの動力源が不要なため、従来の同規模の装置より小型化できる。
住友電工は今後、窒化ガリウム関連製品の自社生産開発工程に本装置を適用し、社内フィールドテストを進める計画。この装置の導入により、窒化ガリウム生産開発工程のCO2排出量を10%程度削減できる見込み。