2010年7月26日
日立金属、アモルファス変圧器鉄心のリサイクル技術開発
日立金属はアモルファス変圧器鉄心のリサイクル事業に乗り出す。このほど、廃棄変圧器内のアモルファス鉄心を、直接原料としてアモルファス合金を製造するリサイクル技術を世界で初めて開発した。
変圧器(方向性電磁鋼板を使用した従来型)の寿命は、通常20―30年とされ、廃棄された変圧器は解体処理業者によってリサイクルされる。アモルファス変圧器は電力損失が従来型の3分の1に削減でき、CO2排出量の抑制につながるメリットがあるが、鉄心に使用されるアモルファス合金には鉄とケイ素(Si)、ホウ素(B)を含むため、従来の鉄鋼材料としてのリサイクルプロセスが適用できないという技術的課題があった。
日立は外部からのアモルファス合金原料の購入費に見合う技術をこのほど開発し、直接リサイクルシステムを開発した。廃棄アモルファス鉄心に付着している絶縁油などの不純物を取り除き、粉砕・溶解する月間50トンの処理能力を持つリサイクルプラントを安来工場内に設置する。
アモルファス変圧器は、一般向け配電の柱上用と産業用(ビル・工場用)に大別され、柱上用は電力会社が採用している。国内より中国、インド、北米、東南アジアなど海外で多く普及し、欧州でも採用に向けてのフィールド試験が開始されている。リサイクル技術の確立により、アモルファス変圧器のさらなる普及拡大が期待できそうだ。
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