愛知製鋼は29日、レアアースのディスプロシウムを添加せず、ネオジムの使用量を約30%削減した世界最高レベルのボンド磁石「マグファイン」の本格生産、販売を9月から開始したと発表した。鉱山での資源確保から、製品開発まで一貫して行う。2017年には月産1000トンを目標に事業展開を図る方針。
近年、レアアースは国際的に獲得競争が激化しており、わが国でも希少資源の安定確保、省資源化が急務になっている。同社が開発した新合金マグファインは、ネオジム系異方性ボンド磁石である従来型のマグファインに、希少資源のディスプロシウムを添加しなくとも高保持力を保つことができる。
また、耐熱温度も従来の120度から自動車用製品に使用可能な150度まで高めた。ネオジムの使用料も30%削減し、製品の薄肉化を実現している。すべて日本の技術を活用しており、資源問題解決への重要技術として注目を集めている。
新合金は9月から、関工場で電動工具向けリング磁石として生産を開始。今後、自動車のシートやパワーウィンドウ、リアワイパーなどのモーター向けや介護用ベッドモーター向けに供給する予定。また、エアコンや電動バイク向けでも普及拡大が期待されている。