2012年1月17日
中山製鋼、高精度トルクセンサ開発 金属ガラスを溶射
中山製鋼所はこのほど、サンエテック社と東北大学と共同で、高感度、高速応答の磁歪式回転トルクセンサ用のアモルファス溶射技術を開発、営業を開始した。開発したトルクセンサは、センサシャフトに中山製鋼独自技術のアモルファス金属(金属ガラス)の溶射によって被膜を形成、従来製品よりも高精度で、耐久性、耐振動に優れている。電動アシスト自転車、自動車のパワーステアリング、各種モーターなどへの利用が期待されており、今後、幅広い用途で実用化を図る。
これまでのトルクセンサはねじれ角方式、歪ゲージ方式、磁歪方式などの検知方式があるが、装置が大掛かりで高価なうえ、正転・逆転のトルク検知がスムーズに行えない、さらに歪ゲージが振動に弱く、感度が低いなど問題があった。また、アモルファス金属の磁歪式トルクセンサへの適用は進んでいない。
新開発したトルクセンサは、従来製品の十数倍の感度を得るため、検出部に高強度、高弾性、そして優れた軟磁気特性を有する金属ガラスの溶射被膜を形成。このシェブロン加工された金属ガラス溶射被膜の検出部とコイル部、および磁気回路で構成され、発生した誘導起電圧を磁気回路により検出して出力する。
これにより、従来品よりも10倍以上の感度が得られ、高速応答性(0・5秒)と高分解能を実現。定格トルクが0・1Nm以下の低トルク域についても、高精度でトルク検出が可能。さらに、溶射パラメータの最適化により、溶射被膜の密着性が向上し、軸にかかるトルクが素直に溶射被膜に伝わるうえ、正・逆連続運転時のヒステリシス特性、非直線性、および温度ドリフトにおいて0・5%以内の高精度を得られた。
製品の特長は(1)応答性と精度がともに優れている(2)構造が簡単で耐久性に優れている(3)コンパクトで場所をとらない――など。
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