2012年6月14日

DNAメタルと住友金属、浸食ゼロのはんだポットを共同開発

 DNAメタル(本社=東大阪市御厨栄町、前田茂樹社長)は、住友金属工業と共同で、エロージョン(浸食)ゼロのはんだポットを開発した。母材に耐熱用オーステナイト系ステンレス鋼「NAR―AH―4」を使い、表面にパルス放電による超硬被膜を構成することで、従来のチタン製より低価格で大幅な長寿命化を実現。

新製品・新技術 鉛による環境汚染に対する関心の高まりを受け、各国で法規制の強化が進められる中、大手弱電メーカーや半導体メーカーでは、電子回路基板の製造工程で鉛フリーはんだの使用が増加している。これらはんだを貯めておくポットは、浸食対策としてチタン容器にセラミック溶射を行って使用するケースが大半だが、ぜい性被膜が破壊されると、約数時間から数十時間でポット壁部に浸食が発生する。このため、はんだポットの破壊部位からのはんだ漏れによる火災や、漏出した高温のはんだによる工場作業員のケガなどの安全面、ポット取り替えにかかるコスト面などが問題となっていた。

 開発商品は、はんだ槽、はんだポット、リフロー、フローはんだ槽および周辺部材など。住金が開発した耐熱用オーステナイト系ステンレス鋼のNAR―AH―4に、切削加工および溶接でポット形状に成型。さらにぺネトロン放電硬化装置を用いて、パルス放電でポット表面にタングステン被膜を構成することで、大幅な耐浸食性を実現した。

 同社らが行った試験では、巻線機ラインにポットを取り付け、摂氏540度の溶融はんだを24時間連続で約6カ月使用。試験後の蛍光X線による表面分析でも、鉛フリーはんだによる浸食は一切発生しなかった。

 浸食ゼロにより、溶融はんだを汚さないという利点を持つとともに、開発したポットや部材は6カ月以内ならば再生可能で、表面被膜をはく離して再度コーティングすることで、新品同様の耐久性確保も可能としている。

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