東日本大震災の鉄鋼、非鉄業界への影響が広がっている。巨大地震発生から3日を経過し、東北、関東などに拠点を持つ鉄鋼関連企業の被害報告が14日までに相次いだ。東北地方では地震、津波で直接被害を受けた工場のほか、電力、水道など公共サービスの供給にも支障が出ており多くの工場の操業が止まっている。関東地方では電力需給がひっ迫するなか、節電要請に応じて支障のない設備を止めるケースも出てきた。生産を再開した設備もあるが、港湾、道路など物流にも甚大な被害が出ており、設備、インフラを含め復旧のめどが立たないのが実態だ。
新日本製鉄では、釜石製鉄所が一部冠水により生産を休止。釜石は自社港湾設備が損壊しており、復旧の見通しが立たない状況だが、他の製鉄所、グループ会社で代替生産、出荷を検討している。君津製鉄所では一時休風していた高炉を13日に稼働。圧延以降の工程も順次稼働しているが、電力需給をにらみながらの慎重な操業体制を敷いている。室蘭製鉄所では設備に大きな被害はなく、その他の製鉄所では津波の影響で出荷荷役を一時停止したものの、津波警報解除を受けて、全所で出荷を再開している。
JFEスチールは東日本製鉄所京浜地区の高炉で13日に、千葉地区で14日に送風を開始した。ただ、節電に協力するため高炉は保安運転状態を維持し、その他ラインも基本的に停止している。生産はしていないが、すでに出荷準備済みで、需要家から特に要請があったものは出荷している。
住友金属工業の鹿島製鉄所は地震でガスホルダー、コークス炉、高炉、岸壁クレーンに損傷が出たが、津波による冠水はなかった。すべてのラインを休止しており、グループの総力をあげて全設備の早期立ち上げをめざす考え。和歌山製鉄所、住友金属小倉など他の拠点は通常操業を続けており、グループの総力をあげて安定供給に努めるとしている。