鉄鋼メーカーの2012年3月期連結業績予想がほぼ出そろい、大手では新日本製鉄や住友金属工業、日立金属、合同製鉄、大和工業、東京製鉄などが前期比で経常増益を見込むが、約3倍増を予想する住友金属を除き、多くのメーカーが小幅増益にとどまる見通しだ。
国内鉄鋼需要の減少、円高による輸出競争力の低下、鉄鉱石や原料炭の価格高騰――など、構造的な問題が収益を圧迫しているためで、JFEホールディングス、大同特殊鋼、愛知製鋼は減益を予想する。
東日本大震災直後に減少した反動で、国内自動車生産が急回復しており、高炉、特殊鋼メーカーは上方修正が想定されるものの、欧米の財政不安リスクもあって一段の収益回復にはコスト競争力の底上げや、海外事業収益の拡大など抜本的な対策が必要となりそうだ。