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2024.12.4
2023年9月19日
鉄鋼業界で働く/ 女性マネージャー編/インタビュー(下)/女性が活躍できると証明
日鉄物産タイでセールスマネージャーを務める横田薫さん。出向前の日鉄物産で棒線営業部に所属。海外営業と国内営業の双方を通して業界を学び、2019年にタイ駐在となった。海外勤務の内容、タイと日本との違い、今後の目標などを聞いた。
――日鉄物産タイへ。
「2019年、日鉄物産タイへの海外駐在が決まりました。ずっと希望を出していたんです。海外のお客さまに直接会ってそばで営業したいと思っていて。いつ結婚や出産をするか分からないので、ライフイベントをふまえ早めに行きたいと考えていましたね。タイ人の母は、自分の母国に駐在する私を誇らしく思ってくれました」
――業務内容を。
「主に薄板担当で、缶向けのブリキ原板やラミネート鋼板、めっき鋼板をメインに、一部で鋼管や形鋼も販売しています。他の海外事業会社も同じだと思いますが、日鉄物産タイでは国内と違って品種で分けられるほどの人員がいなくて少数精鋭。お客さまの必要なものであれば何でも扱わないといけないです。新しいビジネスを作るのが好きなので、飛び込み営業をすることもよくあります。『日本人の女性が鉄の営業に来たのは初めてだよ!』と驚かれることも。タイでは女性駐在員がとても少ないんですよね」
――日本との違いは。
「日本人は細かくて、情報を1つ集めるにしても必要以上に収集したり、報・連・相の頻度がすごく高かったり。タイ人はそこまで細かくない方が多いです。合理的に考える傾向があるようで、私もその点は一理あるなと思いました。それでも細かさや丁寧さが必要な場面もありますよね。現地スタッフとは価値観の違いを理解しながらも、背景や目的を丁寧に伝え、相手が正確に理解できたかを確認するなど、コミュニケーションを大事にしています。ニュアンスが大事なこともあると思うので、可能な部分はタイ語で伝えることもありますね。タイ語で伝えるとすごく身近に感じてもらえるみたいで、業務にも人間関係にも良い影響があると感じます」
――現地女性が多い。
「日本よりも働く女性が多くて進んでいると思います。日鉄物産タイでは鉄の営業職のうち75%が女性なんです。男性の方が少ないんですよ。日本だと逆じゃないですか? 現地スタッフの女性営業職は20―30代で、管理職は40代前後。ちなみに駐在員の女性は私1人です。タイの女性は、結婚・出産をしたからといってキャリアを悩むという選択肢がなくて、変わらずに働いています。家族の支えがあるんじゃないでしょうか。日本だとこの段階で悩む女性が多いと思うので、意識が違うなと感じました。たくましいなと」
――多様性も進む。
「性別がどちらか分からない方がいますね。女性だと思ってお話していたお客さまが、声で男性だったと気付いたことも。でもそのことにあえてふれることはないですね。きれいな方が多くて見た目では分からないですし、どっちだなんて関係ないと思うので。同性のパートナーがいる方も結構いて、お会いする機会が何度かありました。周りの人に紹介するくらいなのでオープンで偏見がない社会なんだと思います」
――ライフイベントは。
「いつか子育てと仕事を両立するとなれば、今と同じように働くのは難しいと思います。でも初めからできないと諦めないで、まずは挑戦してみたいです。それでもできないと思ったら、どうしたらうまくいくか、上司や同僚に相談しながら一緒に考えたいですね」
――業界にどう変わってほしいか。
「鉄の世界にも女性が活躍できるフィールドがあるということを業界内外の方に知ってほしいです。数字で男女比率を見ると確かに男性社会なのが事実ですが、それが原因で、女性が働きにくいというネガティブな印象を持たれやすいんじゃないかなと。業界外の方がそういったイメージを持つのは仕方ないかもしれませんが、業界内でもそういった固定観念を持った方が多いのではないでしょうか。私は実際にこの業界に飛び込んでみて、意外と女性を受け入れてくれる雰囲気、女性でも活躍できる土壌が整っていると実感しています。私の存在や発言で、女性が活躍できるフィールドがあることを証明できたらと思っています」
――どんな人材に増えてほしいか。
「女性に限らず、多様な人材に増えてほしいです。先ほどお話したLGBTの方、私のように海外に働きに行く方――。一人一人のライフイベントに合った柔軟な働き方、どんな方でも自分の能力を発揮でき、働き続けたいと思える環境になってほしいです」
――今後の目標を。
「指導した現地スタッフの成長を見ると、自分のことのようにうれしくなります。このやりがいはタイに来て気付くことができました。日本人駐在員はいつか帰国しますが現地スタッフはずっと残るので、限られた時間の中で、私が培った経験と知識を現地スタッフにつなげていきたいです」
――帰国後は。
「これまでは仕事をバリバリやってきましたが、30代になりそろそろ自分のライフイベントについて考えなければならないと思っています。駐在を終えて帰国したら、国内の仕事に励みつつ今後のことも考えたいです。もし機会があったらまた駐在がしたいですね。今までの上司のうち3人がタイ駐在2回目のベテラン。私もいつか上司くらいの年次になった時に、またタイに来ることがあるのかなと。そんな未来も楽しみです」
(芦田 彩)
鉄鋼業界で活躍する女性をはじめとした多様な人材、未来を担う人材を、随時紹介していきます。
――日鉄物産タイへ。
「2019年、日鉄物産タイへの海外駐在が決まりました。ずっと希望を出していたんです。海外のお客さまに直接会ってそばで営業したいと思っていて。いつ結婚や出産をするか分からないので、ライフイベントをふまえ早めに行きたいと考えていましたね。タイ人の母は、自分の母国に駐在する私を誇らしく思ってくれました」
――業務内容を。
「主に薄板担当で、缶向けのブリキ原板やラミネート鋼板、めっき鋼板をメインに、一部で鋼管や形鋼も販売しています。他の海外事業会社も同じだと思いますが、日鉄物産タイでは国内と違って品種で分けられるほどの人員がいなくて少数精鋭。お客さまの必要なものであれば何でも扱わないといけないです。新しいビジネスを作るのが好きなので、飛び込み営業をすることもよくあります。『日本人の女性が鉄の営業に来たのは初めてだよ!』と驚かれることも。タイでは女性駐在員がとても少ないんですよね」
――日本との違いは。
「日本人は細かくて、情報を1つ集めるにしても必要以上に収集したり、報・連・相の頻度がすごく高かったり。タイ人はそこまで細かくない方が多いです。合理的に考える傾向があるようで、私もその点は一理あるなと思いました。それでも細かさや丁寧さが必要な場面もありますよね。現地スタッフとは価値観の違いを理解しながらも、背景や目的を丁寧に伝え、相手が正確に理解できたかを確認するなど、コミュニケーションを大事にしています。ニュアンスが大事なこともあると思うので、可能な部分はタイ語で伝えることもありますね。タイ語で伝えるとすごく身近に感じてもらえるみたいで、業務にも人間関係にも良い影響があると感じます」
――現地女性が多い。
「日本よりも働く女性が多くて進んでいると思います。日鉄物産タイでは鉄の営業職のうち75%が女性なんです。男性の方が少ないんですよ。日本だと逆じゃないですか? 現地スタッフの女性営業職は20―30代で、管理職は40代前後。ちなみに駐在員の女性は私1人です。タイの女性は、結婚・出産をしたからといってキャリアを悩むという選択肢がなくて、変わらずに働いています。家族の支えがあるんじゃないでしょうか。日本だとこの段階で悩む女性が多いと思うので、意識が違うなと感じました。たくましいなと」
――多様性も進む。
「性別がどちらか分からない方がいますね。女性だと思ってお話していたお客さまが、声で男性だったと気付いたことも。でもそのことにあえてふれることはないですね。きれいな方が多くて見た目では分からないですし、どっちだなんて関係ないと思うので。同性のパートナーがいる方も結構いて、お会いする機会が何度かありました。周りの人に紹介するくらいなのでオープンで偏見がない社会なんだと思います」
――ライフイベントは。
「いつか子育てと仕事を両立するとなれば、今と同じように働くのは難しいと思います。でも初めからできないと諦めないで、まずは挑戦してみたいです。それでもできないと思ったら、どうしたらうまくいくか、上司や同僚に相談しながら一緒に考えたいですね」
――業界にどう変わってほしいか。
「鉄の世界にも女性が活躍できるフィールドがあるということを業界内外の方に知ってほしいです。数字で男女比率を見ると確かに男性社会なのが事実ですが、それが原因で、女性が働きにくいというネガティブな印象を持たれやすいんじゃないかなと。業界外の方がそういったイメージを持つのは仕方ないかもしれませんが、業界内でもそういった固定観念を持った方が多いのではないでしょうか。私は実際にこの業界に飛び込んでみて、意外と女性を受け入れてくれる雰囲気、女性でも活躍できる土壌が整っていると実感しています。私の存在や発言で、女性が活躍できるフィールドがあることを証明できたらと思っています」
――どんな人材に増えてほしいか。
「女性に限らず、多様な人材に増えてほしいです。先ほどお話したLGBTの方、私のように海外に働きに行く方――。一人一人のライフイベントに合った柔軟な働き方、どんな方でも自分の能力を発揮でき、働き続けたいと思える環境になってほしいです」
――今後の目標を。
「指導した現地スタッフの成長を見ると、自分のことのようにうれしくなります。このやりがいはタイに来て気付くことができました。日本人駐在員はいつか帰国しますが現地スタッフはずっと残るので、限られた時間の中で、私が培った経験と知識を現地スタッフにつなげていきたいです」
――帰国後は。
「これまでは仕事をバリバリやってきましたが、30代になりそろそろ自分のライフイベントについて考えなければならないと思っています。駐在を終えて帰国したら、国内の仕事に励みつつ今後のことも考えたいです。もし機会があったらまた駐在がしたいですね。今までの上司のうち3人がタイ駐在2回目のベテラン。私もいつか上司くらいの年次になった時に、またタイに来ることがあるのかなと。そんな未来も楽しみです」
(芦田 彩)
鉄鋼業界で活躍する女性をはじめとした多様な人材、未来を担う人材を、随時紹介していきます。
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