金属リサイクル業界で活躍する女性が増える中、総合リサイクルの平林金属(本社=岡山市、平林実社長)では技術開発部で2人の女性社員が資源循環社会の実現を目指し、リサイクル技術の向上に取り組んでいる。花房茉奈美さん、中村絢夏さんに話を聞いた。
――なぜリサイクル業界で働こうと。
花房「もともと環境系の仕事をしたいというのがあって、専門学校でも化学の勉強をしたり、生態系の調査をしたり、環境について学んでいました。就職活動中に唯一見つけたリサイクル関連の企業がヒラキンで、えこ便(店舗型の資源回収事業)を担当している方が事業内容を熱く語っているのを見て『この会社すごいな』と感じたのがきっかけです」
中村「私は、リサイクルという職業に正直興味はありませんでした(笑)。ずっとソフトボールを続けており、高校卒業後も続けたいなと思う中で、ヒラキンの女子チームの存在を知りました。会社としてもソフトボールに力を入れており、社員の皆さんが応援してくださる良い会社だと。各地にチームはありますが、ここに入部したいなと思い、決めました。入社前にリサイクル業についても調べましたが、決め手はソフトボールでした」
――そういう方は意外と多い。
中村「女子選手の多くは、私と同じような思いで入社・入部しています。女子チームができてから、女性の働きやすい環境づくりへの取り組みが始まり、家電リサイクル部門を中心に女性社員が増えました。私も以前は、家電リサイクルの工場で勤務していました」
――異動は何かきっかけが。
中村「6年ほど現場を担当しており、時々、技術開発部の方が現場に来られ、さまざまなテストを実施されていました。実際に手伝いをしている中で、面白いと感じ『自分も技術開発部でやってみたいな』と話をしていました。そこから2―3年後に打診があり、ぜひ、やらせてくださいということで、技術開発部へ異動することになりました」
花房「私は入社時から技術開発部でしたが、他に女性がいなかったので、上司に『同世代の女性の同僚が欲しい』と言ってみたり、『中村さんが興味あると言っていました』とプッシュしたりしていました。それだけが理由ではないと思いますが、働きやすいよう会社として配慮してくれたのかなと感じています」
――実際、変わりましたか。
花房「やっぱり、安心感が違います。女性同士でないと言いづらいこともありますし、そういった部分を話せるようになったことでストレスは減りました。入社は中村さんが3年早く先輩なのですが、同い年で仕事以外でも仲良くしています」
――女性1人の時に苦労したようなことは。
花房「いまは事務職の方が配置されて解消されていますが、入社当時、女性は私1人だけだったのでお茶出しや掃除もやっていて大変でした。自分の仕事もある中で、合間を見てということなので。女性がそういうことをやるというのは、なんとなく女性の仕事みたいな理解があったので、仕方ないのかなと、自然に受け入れていました。ただ、それまで皆さん結構、適当にやっていたようで、例えばコーヒーを入れるのにもコーヒーの粉がそのままカップの中に入ってしまっていて、少しやり方を変えたほうがいいなと感じていたところがあり、じゃあ自分でやったほうがいいかなと、そんな思いもありました」
――技術開発部ではどのような業務を。
中村「社内での設備導入前の機器選定や事前テストなどを行うほか、稼働後の品質管理や設備改善といったことをやっています。さらに自社での成果を踏まえ、社外に向けて技術提案していくという仕事もあります。グループ会社のヒラキンテックと連携して、リサイクルプラントの設計やノウハウの指導などを行っています」
(月森 七海)