2021年9月3日

鉄鋼業界で働く/―若手女性営業職編― インタビュー/お客さまから日々学び

鉄鋼業界に入る女性が少しずつ増えている。新型コロナウイルス感染拡大や初の緊急事態宣言発令で社会が混乱した2020年4月、メタルワンでは3人の女性が総合職で入社した。そのうちの1人、伊串亜実さんは大学時代から鉄鋼商社を志望。大阪支社大阪厚板課に配属され、国内営業の仕事を日々学んでいる。鉄鋼業界を目指したきっかけやコロナ禍での苦労、今後の目標について聞いた。

――鉄鋼業界に興味を持ったきっかけは。

「最初は商材に関係なく商社に興味を持っていました。就職活動を進める中で鉄鋼メーカーの方と出会い、高炉を見学。高い技術力を目の当たりにし、胸が熱くなりました。また建物や交通機関のような日常の基盤から、家電製品や楽器といった生活を彩るものまで、国の発展の随所に鉄が必要とされ続け活躍していることを知り、鉄鋼商社に志望を絞りました。勧められてドラマ『華麗なる一族』も視聴し、劇中に登場する鉄の製造現場で働く方々の姿を見て、彼らの技術を世に役立てたいと気持ちがさらに高まりましたね。入社が決まってからは、お客さまとすぐ会えて距離も近く、仕事を学びやすい国内営業を志望しました」

――コロナ禍での入社・配属でしたね。

「入社式も新入社員研修もオンラインで、初出社は入社から2カ月後の昨年6月でした。当時は週2日ペースの出社で、お客さまの元へ訪問できたのは昨年の間で3回くらいだけでしたね。お客さまに会えないのはもちろん社内での人間関係も作れず、漠然とした不安がありました。外出できない期間は、鉄鋼業界の知識をはじめ、与信管理や財務諸表の読み方など営業の仕事に役立てられそうなことを勉強しました」

――現在の仕事内容は。

「大阪厚板課で、フォークリフトメーカーを中心に担当しています。今年3月までは教育係の先輩に付いて回りながら業務を学んでいました。4月からは、1人で大きなメーカーさまなどの担当をしています。高校生の時にホテルのコンシェルジュになりたいと考えていたことがあるのですが、商社の営業とコンシェルジュは通じるものがあると思っています。お客さまのご要望に対し期待以上のものをお返しし、さらにはご要望に先回りしてお応えできる。そんな期待以上の動きができる存在になれるよう日々勉強中です」

――勉強中で大変なことも多いとか。

「まだ知識や経験が浅く、自分の力不足を感じて悔しい思いをすることが多いです。お客さまから相談を受けたのにうまく返答できなかったなど…。最初はお客さまに迷惑を掛けてはいけないと思うあまり、問題は全て社内で解決すべきだと考えていました。何か疑問や案件があるたびに社内に持ち帰って先輩に相談していました。今思えば、私からお客さまに壁を作っていたと思います。お客さまから『僕たちに聞いていいんだよ』『分からないことは分からないと言っていいんだよ』とお言葉をいただいてから、いろいろな気付きがありました」

――気付きとは。

「お客さまが温かく成長を見守って下さっていることです。はっきりといろいろ言われることもあるけれど、温かく面倒見の良いお客さまばかりです。『成長するのを楽しみにしているね』『2年目なのに頑張っているね』と励ましのお言葉、『今はとことん周りに甘えて分からないことはすぐに聞くこと。それが逆に相手から安心される』といったアドバイスも頂きました。今は壁を作ることなく、お客さまから多くを学ばせていただいています。営業として成長してお役に立つことで、皆さまに恩返ししていきたいです」

――鉄鋼業界に入って感じたことは。

「想像以上に信頼関係を重視していると思いました。お客さまとメーカーさまの間で、お互いが苦しい時に助け合い、またその恩返しをし合っている様子を見受けます。信頼の積み重ねによるものですよね。人情の世界だと感じています。また女性を迎え入れようとする姿勢のメーカーさまやお客さまが多く、意外とオープンな雰囲気だと思いました」

――鉄鋼業界で女性が働くことについて。

「入社前は、女性の私が営業担当になると頼りなく思われるのでは、と不安でした。いざ入社すると、お客さまはもちろん、上司や先輩なども含め全員が温かく、1人の人間として見てもらえているなと感じました。自分自身が女性であることを強く意識しないように、逆に気をつけています。女性イコール一般職という印象が強いのか、私のことを一般職だと思っておられるお客さまも多いと思うので、総合職にも女性がいるんです! とびっくりさせたいです(笑)」

――今後の目標は。

「大学時代に鉄に心をつかまれたからには、天職にしたいです。商社の営業として、お客さまにもメーカーさまにも最大限貢献したい。また鉄の価値をさらに高め、新たなニーズを発掘していくような働きができたらと思っています。進路としては、造船など厚板の他分野や、薄板、線材、何でも経験したいです。外国語学部出身で、4カ国での留学経験もあるので、いつかは海外営業にも携わってみたい。そのためにも、営業職としての自分の存在価値を高めていきたいです」(芦田 彩)

鉄鋼業界で活躍する人材、未来を担う人材を、随時紹介していきます。



スポンサーリンク