2001.11.09
N KKは、世界で初めて生産設計から廃車処理まで自動車のライフサイクルをターゲットにしたトータルソリューションビジネスをスタートした。独自コンセプトのEVIをベースに設計段階から自動車メーカーと一体化して生産プロセスに参画。次世代燃料DME(ジメチルエーテル)や燃料電池車周辺技術なども提案する。2004年の廃自動車リサイクル法施行をにらんだシュレッダーダスト(ASR)リサイクル技術の確立により、素材供給にとどまらない自動車関連事業を展開する方針。

 同社は、99年4月に総合材料技術研究所に「利用評価技術研究部」を創設、他社に先駆けて利用評価技術にまで踏み込んだカスタマーオリエンテッドを貫いてきた。現在は同研究部を「マテリアルソリューション研究センター」にレベルアップし、自動車専任技術スタッフ「カスタマーエリア担当」を配置している。

 生産プロセスでは、自動車設計の初期段階からかかわるEVIを徹底、外板パネル、内板構造部材、駆動系部品、足回部品など最適な材料適用や設計期間短縮に貢献。衝突安全性や成形性ニーズに対応した「ナノハイテン」や微細粒組織の「SFGハイテン」など特長ある鋼板を実用化した。

 さらに世界で初めてとなる独自開発の表面検査一貫品質保証システム「NKKデルタアイ」を実用化するなど、ユーザーと一体化してコストダウンや技術開発を提案できる体制を整えた。

 実走行時の環境エネルギー対策は、次世代型エネルギーDME(ジメチルエーテル)を開発、さらに燃料電池車用水素高圧容器で国内シェア90%の鋼管ドラムなどNKKグループ全体でサポートしていく。

 廃自動車リサイクルに関しては、世界初の廃プラスチックの高炉原料化一貫システムでバンパーやフロントグリルなどを受け入れている。分別回収されたプラスチック以外のスラグや亜鉛のリサイクルシステムは構築済み。最終的に残った廃棄物もガス化溶融炉処理などでゼロエミッションを提案できる。

公 正取引委員会(公取委)は8日、NKKと川崎製鉄の事業統合について、事前相談を行い、「独占禁止法上の規定に抵触する恐れはない」とする結論を下し、発表した。

 今年4月、2003年4月をメドに両社の経営統合する基本合意を受けて、検討作業が進められており、この中で公取委での事前相談が行われた。

 経済産業省は、公取委の結論を受けて「事業統合にとって課題のひとつだった独禁法との関係が規定に触れないとする回答を得られたことは、両社の事業統合実現に大きな一歩となる」と評価した。

 世界的規模で鉄鋼業界の再編が進む中「両社の経営統合の実現は競争力維持・強化に資する」としたうえで、回答を踏まえ「経営資源の選択と集中を図る方向で、一層迅速に進められることを強く望む」とし、統合の具体的検討作業の進展への期待感を表明。

 さらに「日本の製造業を牽引する基幹産業の代表として、競争力を擁する生産基盤維持のためにも、各社がそれぞれの立場で事業再構築への真剣な努力を進めていくことを求めていきたい」と、さまざまな状況を考慮したうえでの再編支援を講じていく考えを示した。

新 日本製鉄が8日発表した10月末の「ときわ会」H形鋼流通在庫統計によると、全国在庫は28万3100トンと9月末比2万1100トン減少し、この10年間で最低の水準になった。2月のピーク時39万8700トンから8カ月間で12万トン、約3割の減少。在庫の水準について新日鉄は、予想外に早く適正ラインに到達したと評価。在庫率は前年同期に比べて高いものの在庫バランスが崩れているため、年末26万トンに到達することは間違いないと見ている。

 28万3100トンは、昨年4月の集計基準変更前に当てはめると25万トン未満になる。25万トン割れは、94年8月の24万6000トン以来7年2カ月ぶり。さらにその約5年前まで25万トン割れはない。8地区では、これまで在庫調整の遅れていた東北、九州地区でそれぞれ前月比14・7%、9・5%減少した。

 ときわ会では多くの販売店から、10月の総販売量が9月比2ケタ増となったことが報告された。中幅、広幅などはそろうものの、荷動きのよいサイズでは歯抜けが多く、荷ぞろえが困難になっているという。このため新日鉄は、需給のタイト化が進んでおり、東京地区の市況は今月中にも昨年秋の3万8000円水準に届くとみている。

 値上げの受け入れ状況はマチマチだが、新規のヒモ付き物件では手ごたえがあるという。新日鉄の市況認識は東京3万6000円、大阪3万3000から3万4000円へ移行中、名古屋3万4000円。

大 手重仮設業者、川商ジェコス(本社=東京都中央区、寺尾主社長)は、これまでの合理化および効率化への取り組みによって、今上期で売上原価が前年度比約7%減、一般管理費が同約5%減で、両分野トータルで22億円前後の削減となり、収益体質をより一層強化した。これを踏まえて、02年3月期中間業績予想は売上高361億円、経常利益7億円、中間純利益2億円と、減収ながら、利益は上方修正しており、中計初年度は順調に推移している。

 同社では、03年度末を最終とする中期経営計画(3カ年計画)をスタート。今年度は売上高795億円(03年度は830億円)を確保するとともに、経常利益は13億円を予想しているが、中計最終年度における経常利益18億円の前倒し達成を努力目標に定めている。

 売上原価に関しては、減価償却費の低減をメーンに、輸送費の削減など、あらゆるコスト対策を強化。具体的には、新規購入を控えて現有資材を効率良く運用するため、前年度末で全国11工場に完備したケレン作業機械をフル活用して資材の未補修率を軽減し、稼働率をアップさせている。

 また、ケレン作業の機械化によって、工場要員の省力化を実現。さらに未補修率を軽減したことで、各工場がそれぞれの担当エリアにおいて需要家ニーズに即応できる体制を整えており、工場間の資材融通に伴う搬入・搬出量が減少。輸送コストも今上期で当初計画比7%減、約2億円のマイナスとなっている。
N KKはこのほど、スチールハウスの関西地区の部材製作拠点を「エヌ、エス、ケー工業」(本社=大阪市西淀川区佃)に選定した。10月から「エヌ、エス、ケー工業」のフォーミング設備を用いて、スチールハウスの部材(梁・床・壁・小屋用部材)を製作し、岡谷ホームコンポーネントの傘下の工務店に供給する体制を整備したもの。すでに、関東地区ではコイルセンターの明治鋼業(本社=東京都千代田区岩本町、井上憲二社長)が行っており、東西両地区で製作拠点を確立したことになる。

 NKKは1997年9月から、スチールハウスの事業に参入した。同社のスチールハウスの特長は地震・台風に強く、断熱性・気密性が高く、高耐久性住宅となっている。和洋住宅・バリアフリー仕様などタイプも間取りも自由な設計ができるうえ、優れた遮音性があり、高性能亜鉛メッキを施している。

 ここ最近では年間100棟を建築、参入から今までの累計で200棟。来年度には年間で200棟を目指す計画。当初、部材製作は明治鋼業で行い、全国向けに対応していた。しかし、受注棟数の増加に伴い、西日本向けの製作拠点の設置が課題となっていた。このため、関西地区に部材製作拠点を選定した。
住 金大径鋼管(本社=堺市)は、サモア向けに鋼管杭2000トンを出荷した。住友金属を窓口としたもので、同諸島向けの鋼管杭輸出は初めて。国内需要の頭打ち感から積極的な輸出対応を進めているもので、「今後も採算の良いものを中心に引き合いがあれば、取り組んでいきたい」(山本和也社長)としている。

 同社は鋼管杭とSTコラム、煙突・水管などの自社製品部門で展開しており、主力の鋼管杭は住金からの全量委託加工。鹿島と堺に工場があり、年間10万トン弱の生産量。輸送問題などもあり、国内向けが主体だが、今回、サモア向けに初めて輸出した。

 国内の鋼管杭需要は、2001年度で50万―60万トンと想定されており、このところ年間ベースでは低下傾向にある。住金大径鋼管としては、年間8万トン強で採算を確保できる体制にしているが、将来のことを考慮して輸出市場も視野に入れた生産を目指している。

 今回の輸出は、採算的には厳しかったが、将来の可能性を開くものとして取り組んだもので、操業維持の観点から採算を重視しながら取り組んでいく方針。

全 国鉄構工業協会(会長=橋本誠・大川トランスティル社長)が会員282社(回答235社)を対象にこのほど実施した元下関係実態調査結果によると、ゼネコンから不当な指値があったと回答したのは195社と全体の82・9%に上った。このうち6割が、見積金額に対して「20―40%」、2割が「40―60%」値引きされたと回答した。また、全体の75・7%が、鉄骨のトン当たりの単価は品質・仕様等を無視した価格になっているとした。全構協経営近代化委員会は今後、これらの実態を行政やゼネコンにアピールして改善を目指していく。

 調査結果によると、最近1年間の受注単価では、80・9%が原価割れになっている。官庁工事では9割以上がゼネコンから前払い金の支払いを受けておらず、下請けは前払い金の恩恵を受けていないと全構協は指摘している。

 ゼネコンとの最近1年間でのトラブルでは、受注時の代金の額を一方的に減額されたことがあるのは31・5%、納品後に変更(追加)工事の額を不当に定められたのは68・1%、追加・変更工事分の支払いを受けなかったのは39・6%、短納期の押し付けがあったのは70・2%となった。不当行為を下請法所管行政庁へ知らせたことを理由に得意先から不利益な扱いを受けたのは1・7%で、未回答は12・8%だった。

高 炭素線材製品の輸入が、低価格や品質向上などの要因で増えている。4―9月の年度上期の硬鋼線輸入量(線材製品協会まとめ)は、前年比0・9%増の1万810トン、亜鉛めっき鋼線が同37・4%増の7570トン、鋼索が同31・6%増の6820トン、鋼より線が同3・6%増の1万5020トンと軒並み増加し、主に韓国からの輸入が多い。韓国製鋼索の4―9月平均輸入単価(1トン当たり)が、前年比4500円下落の18万6200円と落ち、低価格化が輸入に拍車をかけている。

 海外メーカーの品質向上が進むにつれて輸入量が増え、年度ベースでは硬鋼線の輸入量が98年度3万9460トン、99年度3万8940トン、00年度4万9850トンと拡大して4万トンの大台を突破。鋼索は99年度8240トン、00年度1万490トンと1万トンを超えた。鋼より線が99年度2万5920トン、00年度2万8120トンと伸びて3万トンに近づき、今年度も増加傾向が続いている。

東 京地区の大径角形鋼管(コラム)市況は12×300×300の一次加工付き価格で、STKR5万5000円、BCR6万4000―6万5000円中心で強横ばい。安値切り上げで、値戻し傾向になってきた。

 Mクラスファブの仕事は年内までしか埋まっておらず需要の少なさは変わらないものの、250―300角は引き合いが増えてきた。

 年末を控え安値請負のファブが後を絶たないため、鉄骨価格はコラム―H形鋼の中小S造で12万―13万円と軟化しているが、流通は僚品H形鋼の上昇気流に乗って、加工賃を確保できるよう安値拒否の足並みをそろえつつある。

東 京地区の表面処理鋼板(電気亜鉛めっき)市況は、弱含み横ばい。定尺市況は5万3000―5万4000円(熱延)、6万3000―6万4000円(冷延)。

 コイルの在庫過剰感は残り、市中では下値に歯止めがかかり始めた段階。定尺扱い筋では「量に期待はできない」と販売価格を堅持する姿勢が強い。市況の範囲は広いが、高炉の値上げはまだ波及してこない。

 国内高炉メーカー分を含めて、在庫はようやくピークを越えたとみられる状況。コイルセンターでは「(取引先の中小企業で)倒産や廃業の話が多く、本当に悪い」との声も聞かれ、販売業者の環境は引き続き厳しいものとなりそう。

大 阪地区の等辺山形鋼市況はベース3万3000円どころで強含み。市中の荷動きは相変わらず活況感を欠くが、需要期ということもあって流通の出荷は微増傾向。「10月の出荷も稼働日数の増加分だけ増えた」(特約店筋)格好で、今月も同様の動きが続いているという。

 市中在庫も2大メーカーの減産努力から、相変わらずベースサイズを中心にタイトな状況。ここにきて、「小山にも歯抜けサイズが広がってきた」(同)もよう。

 また、大阪製鉄、エヌケーケー条鋼は今月販価を据え置きとしたが、来月については値上げの可能性を捨て切れない。このため、値戻しムードはさらに拍車がかかる見通し。