2000.05.10
N KKは9日、岐阜県各務原市からコークスベッド式のガス化溶融炉方式を採用した「新ごみ処理施設」の建設工事を受注した、と発表した。受注金額は99億7000万円で、同社がガス化溶融炉を受注したのは初めて。

 工事内容は、全連続燃焼式ごみ処理施設建設工事一式(NKK高温ガス化直接溶融炉方式)。受注したごみ処理施設は3炉で、処理能力は1日当たり64トン×3炉で192トン。建設場所は岐阜県各務原市須衛地内で竣工は2003年3月14日の予定。

 NKK高温ガス化直接溶融炉は、熱分解残渣を発生させる他方式と異なり、家庭から排出される可燃ごみだけでなく、埋め立て処分されていたガレキ類や陶磁器、ガラスくず類なども混合溶融処理し、再利用可能な溶融スラグにすることで最終処分量を削減することができる。コークスベッド方式本来の特徴に加え、副羽口からの送風による炉内流動化により、棚吊などの炉内トラブルを防止することで多様なごみ質に対する安定稼働を可能にした。また、これまで間欠式だったスラグ出滓作業を連続式にすることで安全性と作業環境の大幅な改善を図った。 

 さらに、炉内フリーボート部を850度以上の高温還元雰囲気に保つことでダイオキシン類を抑制し、今回の工事でも0・1ng―TNQ/Nm3以下を保証している。

 ガス化溶融炉はダイオキシン対策やスラグの有効利用による最終処分量の削減といった観点から全国の自治体で急速に採用の動きが高まっているが、同社では、今回の受注はコスト面だけでなく、公害対策、安全対策などの技術力を総合的に評価された結果、としている。

ロ シア政府がスチールパイプを対象に、セーフガード(緊急輸入制限)の調査に乗り出したことが明らかになった。調査開始はモスクワの日本大使館を通じ、外務省、通産省に伝えられた。

 ウクライナをはじめドイツ、イタリアなどからのスチールパイプ輸入が急増したことへの対抗措置と見られる。

 セーフガード措置はロシアにスチールパイプを輸出するすべての輸出国が対象となるが、日本が協力支援するロシアのパイプラインプロジェクトに絡む日本の融資による日本製スチールパイプについては、輸出や融資額など詳細な情報を日本側に求めてきており、これらは対象から除外される可能性が高い。

 今回のスチールパイプに関するセーフガード調査は、ロシアのパイプ産業発展基金の要請を受けて、ロシア連邦貿易省が3月17日から開始した。

 ロシアへのスチールパイプ輸出は、ウクライナ、ドイツ、イタリアなどが上位を占め、中でもウクライナからの輸入量が増加しているという。

ダ イハツ工業(本社=大阪府池田市)は、新しい自動車用防錆鋼板として新日本製鉄のMZ鋼板を採用することを決めた。以前から使用していた亜鉛ニッケル系の合金電気亜鉛メッキ鋼板の使用を、全面的に新製品に切り替えることで、クロメートフリー化を実現する。これにより、同社が使用する電気亜鉛メッキ系防錆鋼板は、これまでの3社購買から実質的に新日鉄1社に集約される。国内の電気亜鉛メッキ系(EG)の自動車用防錆鋼板は、環境対策からクロメートフリー化が急がれていたが、マツダ向けとともに新日鉄製品が「一人勝ち」の形となる。

 ダイハツは、トヨタ系のオフラインメーカーとして機能しており、新規格の軽自動車が市場に投入されて以降、生産台数が増加している。99年は新軽だけで年間50万台に乗せている。このほかトヨタのカローラバン、タウンエースなどの受託生産を行っている。これらを合わせると、今年4―6月の月間平均生産台数は7万台に乗っており、年間90万台近くの生産量。こうした生産面での追い風を受け99年度の売上高は8500億円、経常で185億円前後の黒字が見込まれている。

 オフライン工場は、主力の池田工場のほか多田、京都、滋賀の3工場。自動車用鋼材は、基本的にはトヨタの集中購買の傘の中に入っているが、内製分は自社の集中購買で調達している。月間2万トンから3万トン程度と見られており、トヨタからの受託生産分はトヨタの材料支給。自社購買の鋼材は、新日鉄がほぼ50%のシェア。窓口は新津田鋼材、日鉄商事、豊田通商、三井物産の4社。このほかNKKが30%(窓口は豊田通商)、川鉄が川鉄商事窓口で20%。防錆鋼板の比率は、30%程度で年間10万トン程度。このほか集購対象にはなっていないが、大手の部品メーカーがタイハツのスペック指定で自社購買を実施。これらも新しい防錆鋼板に移行する。

 国内のオフラインメーカーでEG系の防錆鋼板を採用しているのは日産自動車、マツダ、ダイハツの3社。このうち日産は、CG転換をきめている。マツダとダイハツがEG系で残るが、クロメートフリーは緊急の課題となっている。

 ダイハツは今回の決定を受け、ランニングチェンジの形で転換を進める。これまで採用していた防錆鋼板は、亜鉛ニッケル系の合金亜鉛メッキ鋼板。防錆性能と加工性を向上させるためクロメート処理されている。

 このクロメート処理した防錆鋼板が環境面から問題化しているため、クロムフリー化を決定。昨年春以降、高炉各社のクロメートフリーの防錆鋼板の採用コンペを実施していた。この結果、新日鉄のMZ鋼板の採用を決めた。すでにランニングチェンジの形で、部品や外装板の一部がMZ鋼板に切り替えられており、最終的にはフルモデルチェンジを契機に、全面転換される。

 新日鉄のMZ鋼板は、ボンデ系のメッキ鋼板。メッキの基層部分はピュアジンクで、その上にマグネシウムを添加したリン酸系の被膜、最上層部にアルファ被膜が乗せられている。クロメート処理をしないため環境問題もなく、性能面でも従来の亜鉛ニッケル系より良好。すでにマツダのクロメートフリー化では、唯一の採用製品となっており、昨年11月以降供給が開始されている。

 生産は、広畑製鉄所と八幡製鉄所。マツダ向けについては、住友金属が新日鉄からの技術移転で鹿島製鉄所で生産することになっている。

マ ルイチ・アメリカン・コーポレーション(カリフォルニア州サンタフェ・スプリング、宗田利一社長)が1998年に新設した第6溶接鋼管ラインの生産が1直フル生産ペースに達している。同社は西海岸における構造用溶接鋼管大手2社の1社で、80年の操業開始から数年後に黒字転換し、10数年間にわたって黒字経営と配当を継続してきている。

 同社は丸一鋼管グループ46%、日商岩井30%、三菱商事15%などにより78年に設立されたもの。丸一鋼管にとってはマレーシア、韓国、インドネシアと並ぶ海外生産拠点のひとつ。現在の従業員は85人。

 98年半ばに3000万ドルを投じて新設した第6溶接鋼管ミルは、スリッターおよび大径溶接鋼管ラインで構成されている。製品サイズを従来の角管ベースで5×5インチ、0・25ミリ厚から10×10インチ、0・5ミリ厚への大型化を図ることが目的で、これにより設備能力は従来比でほぼ倍増した。第6ミルの設備能力は2シフト・ベースで年間10万トンとされており、足元は1シフトでのフル生産ペースに達している。

 なお同社は素材となる熱延鋼板をカリフォルニア・スチール・インダストリーズをメーンに現地調達を基本としているが、大型コイルについては海外から調達している。

三 菱商事と豪州BHP社は、両社の強粘結炭のジョイントベンチャープロジェクトである「CQCA」プロジェクトの生産力強化に着手する。ピークダウンズ炭の能力増強や、グーニエラ炭の増産に向けた検討などを進める。

 三菱商事は鉄鋼原料の中では石炭営業に強い基盤を持っている。とくに、最大の供給国である豪州では11のプロジェクトに参画し、取り分(アン・インコ方式による出資比率分)は年間1000万トン(販売量は2000万トン)を有し、同社の戦略基盤を形成している。

 「CQCA」(セントラル・クイーンズランド・コール・アソシエーツ)はブラックウォーター、グーニエラ、ピークダウンズ、サラジ、ノーウィッチ、グレゴリーの各炭鉱で構成され、年間生産量は3000万トン。三菱商事は、グレゴリー炭を除く5炭鉱の権益のそれぞれ13%強を保有。

 石炭業界が3年連続の価格下落の影響で厳しい状況に陥っている中で、豪州炭は総合的な優位性を背景に競争力を強めており、とくにインフラの整っている既存炭鉱が相対的なコスト競争力を維持している。

 日本を含む世界の鉄鋼業の生産回復に伴い、石炭需要は増加に転じているが、グリーンフィールドの開発(新規開発投資)は難しいとの判断から、既存のインフラが整っている有力炭鉱の能力増強や増産に乗り出すことにした。

 製鉄メーカーの非微粘炭の使用量の増加に伴い、コークス強度の維持などの必要から、良質強粘結炭へのニーズが高まっていることにも対応していく。

 ピークダウンズ炭は1億豪ドルを投資してドラッグラインを導入し能力を増強するほか、グーニエラ炭は増産を検討する。





東 京地区のH形鋼は200×100で3万1000円中心と強含み。荷動きは低迷しており需要家の抵抗は根強いが、流通の高唱えが徐々に浸透している。歯抜けサイズを抱えた低水準在庫を背景に、商社を中心とした値上げ攻勢で、今後も市況は強基調を維持しそうだ。

 4月の販売量は「ほぼ3月並み」(特約店)という半面、荷動きが低迷するなか強硬に値上げした結果、3月比「40%近い減」(商社)に落ち込んだ商社もある。メーカーの納期遅れなどによる入荷減で、在庫は「10%減」(商社)などと減少傾向。ミドルサイズなどに歯抜けの傾向が強い。

 メーカーの引き受けカット、流通の申し込み抑制で先行きも在庫は低水準を維持する見込み。需要が上向く気配は乏しいが、今週から商社は3万1500円を唱えてさらに値上げを図っているため、今後もジリ高の展開が続きそうだ。